会長挨拶

第17回日本医療マネジメント学会学術総会 会長
山根 哲郎

パナソニック健康保険組合 松下記念病院 院長

この度、第17回日本医療マネジメント学会学術総会を開催させていただくこととなりました。大阪での初めての開催であり、改めてその責任の重さを感じております。また、全国よりお越しいただく皆様にとって有意義な機会となるよう、職員一同、鋭意準備を進めております。

わが国ではこれからの超高齢社会にどのように対処するかは大きな社会問題です。医療分野においても医療の質、生命の質を大切に考えつつ、これからの社会情勢に合わせて、時には新しいことを行うことが必要でしょう。その時が来て、想定外として済ませられる問題ではありません。

このような多くの問題を抱え、来るべき高齢時代に備えて、素早く的確に対応をしなければならないことがある一方で、医療の中では絶対に変わってはいけないこと、変えてはならないことがあります。俳聖の松尾芭蕉はこのことを『不易流行』という言葉で、変わってはいけないものと、変わらなければならないことを表現しました。

医療のマネジメントにも、不易流行が存在すると思います。変わるべきものとして、これからの社会構造の変革や経済情勢などにあわせて医療行政を進めていかなければなりません。止まるところのない医療費増加は医療のみならず、社会の崩壊も招くことになってしまいます。医療の安全、質の向上、効率化などの改善策として、医療安全、医療連携、クリティカルパスなどが存在し、DPC制度のうえで医療がコントロールされていますが、果たしてそれだけで十分かと考えると、まだまだ大きな問題がたくさんあります。

一方、医療において変わってはならないものとして、医療人としてのモラル、生命に対する尊厳や患者さんへの思いやりや博愛の精神があります。医療人として「noblesse oblige」「self-referral」などの言葉でその責務が叫ばれていますが、このことの重要性をはっきり示していかなければならないと考えます。

よい医療を永続的に提供するには、医療の質も量もどちらも重要です。現代医療は質より量を求める傾向にありますが、質は不易、量は流行であるとみて、どちらも重要であることを認識して医療を継続することが必要と考えます。さらに、これからは医療だけではなくもっと広い視野で、介護や地域と一緒になってこれからの医療を考える必要があります。

本学術総会では、医療における"不易流行"を主題として、医療の革新が必要なことと、医療の本質として維持・向上しなければならないことについて、医療現場から発信される様々な問題を取り上げたいと考えています。

笑いと人情の街、くいだおれの町、大阪。2日間の学術総会や懇親会を通じて、大阪ならではのおもてなしでお迎えしたいと思います。多数の皆様のご参加を心よりお待ちいたしております。