オンラインカジノ匿名利用の裏側:数千枚のSIMカードを用いた電子マネー換金業
兵庫県と群馬県の警察が共同で設置した捜査本部が、職業紹介会社の経営者である男性らのグループを逮捕しました。このグループは、違法に電子マネーと暗号資産(仮想通貨)を換金する業務を行い、オンラインカジノの利用者が匿名で遊べるように支援していた疑いが持たれています。このために、彼らは電子マネーを受け取るためのアカウントを大量に管理する必要があり、数千枚のスマートフォン用SIMカードを購入していたことが捜査により明らかになりました。
このグループは、購入時に身分証明が不要なデータ通信専用のSIMカードを選んでいました。捜査本部は、彼らが換金処理の増加やアカウントの凍結リスクに備えて、大量のアカウントを運用し続けていたと見ています。
兵庫県警のサイバー捜査課などによると、このグループは、職業紹介会社の社長、吉田朋広(21歳、名古屋市在住)と専門学校生の藤井晶大(23歳、同じく名古屋市在住)ら十数名で構成されていました。彼らは、本人確認なしで購入可能な特定の電子マネーをカジノで使用する仮想通貨に交換し、賭博行為の追跡を困難にしていました。
捜査関係者によると、カジノの顧客から電子マネーを受け取るために、グループは常に5〜10のアカウントを運用していました。SIMカード一枚につき一つのアカウントしか作れず、不自然な入金が続くと、アカウントは運営会社によって凍結されることがあります。そのため、このグループが作成したアカウントは数千にのぼると見られ、関係先からは1000枚以上のSIMカードが発見されました。
SIMカードは、携帯電話で通信や通話を行うために必要なICチップです。携帯電話不正利用防止法では、SIMカードの購入時に本人確認を義務付けていますが、データ通信専用のものはその対象外であり、悪用されやすい状況です。この問題に対し、警察庁は対策を検討しています。