米国ネットカジノ大手7社、ギャンブル依存症対策で業界団体設立
アメリカでオンライン賭けが急速に広がっていることを受け、業界は「ギャンブル依存症」への対策に力を入れ始めました。アメリカのネットカジノ運営の大手7社は、共同で対策や啓蒙活動を行う業界団体を立ち上げることを発表しました。この団体は年間2000万ドル(約30億円)以上を投資する計画です。
この動きは、メジャーリーグ・ドジャースの大谷翔平選手の元通訳である水原一平氏がブックメーカーでの違法賭博に関与していたとされる問題がアメリカ全土に波紋を広げたことも背景にあります。水原氏は自身が「ギャンブル依存症だった」と告白し、この問題はアメリカのメディアでも大きく取り上げられています。
アメリカでは全50州のうち38州でスポーツベットが合法化されており、特に若者を中心にスマートフォンやパソコンから気軽に賭けができるようになりました。これにより、ギャンブル依存症への対策が急務となっています。
7社は「責任あるオンラインゲーミング協会(ROGA)」を設立しました。この中には、スポーツ賭けを得意とする新興企業のファンデュエルやドラフトキングス、そして老舗カジノのオンライン版を運営するベットMGMやハードロックデジタルなどが含まれています。
ROGAによると、これら7社の市場規模は、スポーツ関連の合法オンライン賭博市場の85%を占めるとのことです。
ROGAの代表には、25年以上にわたりギャンブルの問題とその解決策を研究してきたジェニファー・シャトレー氏が指名されました。シャトレー氏を中心に、ギャンブル依存症の防止や対策に関する研究、そして賭けを持続的に楽しむための消費者向けの啓蒙活動が進められる予定です。
また、協会に参加する企業間で利用者のデータを共有し、依存症の疑いがある利用者の賭けを制限するなどの仕組み作りも計画されています。詳細はまだ未定ですが、依存症の発症を事前に防ぐ目的があるとされています。
アメリカでは、ギャンブル依存症の患者は深刻な症状を持つ人を含めて約200万人いると推定されており、軽度の症状を含めるとその数は約900万人に上るとされています。