競馬用語|初心者から上級者まで!よく使われる用語辞典

「競馬」は単に馬の速さを競うスポーツではなく、血統、戦術、そして運が絡み合う複雑な世界です。
初心者にとって競馬の世界は、独自の用語で満ち溢れておりその言葉の壁が高く感じられるかもしれません。
本記事では、競馬をもっと深く楽しく理解するための鍵となる基本的な用語と、もう少し踏み込んだ専門用語までを一覧でご紹介しています!
基本用語
アウトブリード
サラブレッドの生産技術の一つで、近親交配を避けるために血縁関係が比較的遠い馬同士を交配させる方法。この技術は、遺伝的多様性を確保し、遺伝病のリスクを低減するのに役立つ。アウトブリードは、血統の強化と新しい特徴の導入に重要な役割を果たす。
インブリード
インブリードは遺伝的特徴を固定するために行われる近親交配です。特定の優れた特性を持続させる目的で、5代以内に同じ祖先を複数持つ配合が行われます。この技術は、競走馬の品質を向上させるための重要な戦略として用いられます。
オープンレース
オープンレースはすべての競走馬が条件なしで参加可能なレースを指します。このカテゴリーのレースは、競争の激しさを増すことで馬の真の能力を試す場となり、競馬の魅力を高める要素とされています。
あ行
青毛(あおげ)
被毛が黒色で、その名の通り、光に反射して青く見えることがある馬の毛色を指す。青毛の馬は、厳密には全身が真っ黒で、目の周囲や口辺りにわずかに褐色を帯びることが特徴。この毛色は非常に珍しく、特定の遺伝子によって決定される。
アオる
発走時にゲート内で馬が立ち上がったり、前肢を上げてしまうこと。この行為によりスタートに失敗するリスクがあり、特にレース経験が浅い馬や特定の馬が癖として持つことがある。レースのアウトカムに影響を及ぼす可能性がある。
赤旗(あかはた)
レース開始前の発走準備開始を促すために、発走委員が振る赤い旗のこと。赤旗が振られると、騎手と馬は最終的な準備を整え、ゲートに向かう合図となる。また、レースの再スタートなど特別な場合にも使用される。
赤ランプ(あからんぷ)
競馬場の着順掲示板に設置されており、レース結果が確定した際に点灯する。赤ランプが点灯することで、レースの結果が正式に決まったことを示し、賭けの精算や表彰式などのプロセスが始まる。
上がり(あがり)
レースの最後の3ハロン(約600メートル)でのタイム。この「上がりタイム」は、レースの終盤での馬のスピードと持続力を示す重要な指標であり、レース分析や次のレースの戦略立案に役立つデータとなる。
上がり馬(あがりうま)
最近のレースで成績が上向きになっている馬のことを指し、特に連勝や急速なクラスアップを遂げている馬をいう。これらの馬は今後のレースにおいても注目されることが多く、フォームの良さや調子の向上が期待される。
あがる
牝馬が競走生活を終えて繁殖牝馬として牧場に戻ること。この用語は、競走馬の生涯における大きな転換点を示し、次世代の競走馬の生産に貢献する新たなステージへの移行を意味する。
朝飼葉(あさかいば)
馬に与えられる朝の飼料のことで、馬の日々の管理や調教の前後に不可欠な栄養補給を行う。この飼葉は、馬の健康とパフォーマンス維持に重要な役割を果たす。
脚色(あしいろ)
馬の脚の動きや走りの質を指す用語で、脚の力強さや持続力を示す。脚色が良い馬は、レースの終盤で優れたスピードを発揮できると評価される。
芦毛(あしげ)
馬の毛色の一つで、幼駒の時は原毛色が見られるが、年齢と共に全身が白くなり、黒色や濃褐色の刺し毛が特徴的。芦毛は遺伝的特徴により、特定の血統で見られる色。
脚抜き(あしぬき)
ダートコースなどでの馬場状態を示す用語。脚抜きが良い場合は馬がスムーズに走れ、悪い場合は足を取られてしまう。レース戦略や馬選びに影響を与える。
汗取り(あせとり)
馬が発汗して体温調節を行うこと、またはその過程で体重調整を目的として人間が行う行為。馬の場合は、運動前後に余分な脂肪を落とすために行われることが多い。
当て馬(あてうま)
種付け時に牝馬の発情状態を確認するために用いられる牡馬。直接的な交配は行わず、牝馬の反応を見るためだけに使用される。これにより、交配の成功率を高めることができる。
後検量(あとけんりょう)
レース終了後に実施される、騎手の斤量確認プロセス。この検量はレースに参加した騎手が正確な斤量でレースを行ったかを確認するために必要であり、1キロ以上の差異がある場合、騎手は失格となる可能性がある。
穴(あな)
一般的に人気薄の馬が予想を覆して上位に食い込むこと。これにより高額の配当が発生することがあり、「穴をあける」とも表現される。穴馬は意外な強さを見せることがあり、穴党(高配当を狙うファン)の注目の的になる。
穴場(あなば)
馬券を購入するための窓口や売り場のこと。昔は実際に窓口に穴が開けられていたことからこの名がつき、現在でも使われている。オンライン購入の普及により、実際に窓口を訪れる機会は減少しているが、競馬場の雰囲気を楽しむファンにはなじみ深い用語。
鐙(あぶみ)
騎手が足を掛ける馬具。鞍と連結され、騎手が馬に乗る際のバランスや、馬を操るための重要な役割を果たす。鐙の使い方は騎手の技術を示す部分でもあり、「鐙を踏む」や「鐙を外す」といった表現で使われる。
アラアラ
競走中に馬が疲れてしまい、騎手が十分な手応えを感じられなくなった状態を指す俗語。この状態になると、レースの残りで良い成績を収めることは難しくなる。
アラブ
競走馬として知られる「アラブ」は、厳密には純血アラブとアングロアラブ(アラブとサラブレッドの交配種)の総称。アングロアラブは特に耐久力とスピードのバランスが取れており、様々な競馬で活躍している。
有馬記念(ありまきねん)
日本中央競馬会(JRA)が主催する、年末に中山競馬場で行われるG1レース。ファン投票によって選出された国内トップクラスの競走馬が出走し、年間の競馬シーズンを締めくくる一大イベントとして知られている。
併せ馬(あわせうま)
馬が他の馬と並んで走る調教のこと。競走意識を養う目的で行われ、特に若い馬のトレーニングに利用される。併せ馬は、馬が実戦に近い状態で走ることができるため、調教師にとって重要な手段の一つ。
あんこ
見習い騎手を親しみを込めて呼ぶ際の俗称。経験を積んでいる若手騎手や、騎手候補生に対しても用いられる。これらの若手騎手は、将来の競馬界を支える重要な存在。
鞍傷(あんしょう)
鞍やその他の馬具が原因で馬の皮膚に生じる傷。不適切な鞍の使い方や、馬の体形に合わない鞍を使用した場合に発生しやすい。鞍傷は馬のコンディションに悪影響を及ぼすため、適切なケアが必要。
鞍上(あんじょう)
レースにおける騎手を指す言葉。特に「鞍上が変わる」や「鞍上強化」といったフレーズで、騎手の交代や、より実績のある騎手への変更を示す場合に使われる。
アーニングインデックス
種牡馬の産駒の平均収得賞金を基にした、種牡馬の成績を評価する指標。1.00を基準として、それより高い値を持つ種牡馬は産駒が高い収得賞金を記録していることを示し、種牡馬としての優秀さを表す。
息を入れる(いきをいれる)
レース中に適切なタイミングで馬に一時的にペースダウンをさせて呼吸を整える戦術。適切な「息の入れ方」は、レースでの持続力やスパート力に大きく影響し、騎手の技術の一つとされる。また、レース間隔を空けて馬を休ませることも「ひと息入れる」と表現する。
育成牧場(いくせいぼくじょう)
競走馬としての基礎的な訓練や調教を行うための施設。主に生産牧場から送られてきた若駒が訓練を受け、競馬デビュー前の育成を担う。休養や調整のために利用される育成牧場もあり、競走馬の管理において重要な役割を果たす。
1完歩(いちかんぽ)
馬が走行中に地面を蹴る一歩の距離を指す。一般には7~8メートル程度とされ、この歩幅の大きさと速さ(ピッチ)により馬のスピードが測られる。調子の良い時は完歩が大きくなる傾向にある。
1馬身(いちばしん)
競馬における距離の単位で、馬一頭分の長さ、約240~250センチメートルを指す。レースの着差を表現する際に用いられ、一般的に1馬身差はタイムで約0.2秒に相当する。
逸走(いっそう)
レース中に馬が指定されたコースから大きく逸れて走ること。内外のコースを問わず、大きくコースを外れた場合に使われる用語で、逸走した馬は出走停止処分となることがあり、その後の出走には再審査が必要となる。
行ったきり(いったきり)
逃げ馬がそのまま先頭でゴールすること、つまり逃げ切り勝ちをすることを指す。逃げの戦術が成功し、追い込む馬を寄せ付けずにそのまま勝利するケースを表す。
一杯(いっぱい)
馬が全力を尽くしている状態、またはそのように騎手が駆け抜けること。「一杯に追う」とは、騎手が手綱をしごいたり、鞭を使用して馬に全速力を出させること。この状態では馬に余力はほとんどない。
一般レース(いっぱんれーす)
特別レース以外の全ての競走を指す。新馬戦や未勝利戦、条件クラスのレースなどが含まれ、日常の競馬カードの大部分を占める。見習い騎手の減量特典が適用されることも特徴。
一本かぶり(いっぽんかぶり)
馬券の売り上げが一頭の馬に集中すること。断然の人気馬がいる場合によく見られ、その馬への期待が非常に高い状況を示す。また、強力な組み合わせが存在する際にも使われる。
イレ込む(いれこむ)
馬が興奮状態になり、落ち着きを失うこと。特にレース前やゲート入りの際に見られ、過剰な緊張や不安からパフォーマンスが低下する原因となる。イレ込みはレース結果に悪影響を及ぼすことがある。
イン
レースコースの内側部分を指す。内側のコースは距離が短く、効率的な走行が可能であることから「経済コース」とも評される。インを突く戦術は、内側から抜け出すテクニックを要する。
ウイナーズサークル
レースに勝利した馬、騎手、調教師が表彰される場所。勝利者たちが集まり、トロフィー授与や記念撮影が行われる競馬場の特別なエリアで、その日の最高の栄誉を祝う場として知られている。
WINS(ウインズ)
日本中央競馬会(JRA)が運営する公営競馬の投票券(馬券)を購入できる場所。全国各地に設置されており、レースのライブ中継を観ながら馬券を購入することができる。ファンにとっては競馬を楽しむための重要な施設の一つである。
内回り(うちまわり)
競馬場のコース設計における一種で、トラックの内側を利用したコースのこと。特に中山競馬場の内回りは小回りが特徴であり、他の競馬場では直線距離が短くなる効果がある。レースの戦略や展開に大きな影響を与える。
ウッドチップコース
木片を細かく砕いた素材を用いたトラックで、クッション性に優れ、馬の脚への負担を軽減する。栗東、美浦トレーニングセンターや一部の競馬場で採用されており、悪天候時でも水はけが良く、練習やレースの質を保つのに貢献している。
馬七人三(うましちひとさん)
競馬の成果において、馬の能力が大部分を占めるが、騎手の技術や判断も重要な役割を果たすという考え方を示す言葉。人それぞれで馬と騎手の影響度合いに対する見解が異なる。
馬単(うまたん)
馬券の種類の一つで、レースで1着と2着になる馬を正確な順位で予想して購入する方式です。馬連と異なり、予想する馬の着順が正確である必要があり、その分配当は馬連よりも高額になる傾向があります。
▼こちらの記事では馬単について詳しく解説しています!

馬っ気(うまっけ)
特に牡馬が発情期に見せる性的興奮の状態。競走馬がレース前に落ち着きを失ったり、集中力を欠いたりする原因になることがあり、関係者はこれを抑えるために様々な対策を講じる。
馬なり(うまなり)
馬が自らのペースでリラックスして走っている様子を指し、騎手が無理に追わずとも馬が持ち前の力を発揮している状態。これは馬の余裕を示しているが、馬によってはこれが最大の努力かもしれない。
馬主(うまぬし)
競走馬を所有している個人や団体。競馬において重要な役割を担い、馬の管理や出走計画などに関わる。馬主になるためには一定の条件を満たし、登録手続きを行う必要がある。
馬の温泉(うまのおんせん)
馬専用の温泉施設で、主にリハビリテーションや休養を目的として使用される。温泉治療によって、故障からの回復を促す効果が期待され、多くの競走馬が利用している。
馬番(うまばん)
レースで各競走馬に割り当てられる識別番号。出走順やゲート番号と直接関連し、競馬ファンは馬券購入時にこの番号を基に選択する。レースの進行や結果報告においても重要な役割を果たす。
馬道(うまみち)
競馬場やトレーニングセンター内で馬が移動する際に使用する専用の道。馬の安全とスムーズな移動を確保するために設計されており、日常的な管理に不可欠。
馬連(うまれん)
競馬の馬券の購入方法の一つで、レースで1位と2位に入る馬を予想して購入する方式。どの馬が1位、2位になるかの順序は問わず、選んだ2頭が上位2位内に入れば的中となる。配当は選ばれた2頭の人気や賭けられた金額によって決まる。
▼こちらの記事では馬連について詳しく解説しています!

裏開催(うらかいさい)
主に中央競馬の大きな開催と平行して行われる、地方競馬の開催のこと。ファンにとっては同時期に複数のレースを楽しむ機会となり、競馬界の活性化に貢献している。
ウラスジ
馬の脚の裏側に位置する屈腱を指す際に使われる言葉。健康状態や怪我の有無をチェックする際に注目され、競走馬のパフォーマンスに直結する重要な部位。
うるさい
馬の気性や性格が扱いにくいことを表現する言葉。特に訓練やレース前の挙動において、このような馬は注意深い取り扱いが求められる。
上腹(うわばら)
鞍の安定や安全性を高めるために、通常の腹帯に加えて装着される追加の帯。鞍ズレを防ぎ、騎手と馬の安全を確保するために重要。
エアロフォーム
騎手がレースで着用する、空気抵抗を最小限に抑えるために設計された勝負服。スキーなどのスポーツウェアを参考に開発され、体に密着することでスピードの向上を図る。見た目のスタイリッシュさもあり、多くの騎手に選ばれている。
エビハラ
競走馬が罹りやすい屈腱炎の一種。この病名は、炎症によって腱が腫れ上がり、エビの腹のように見えることから名付けられた。一度発症すると完全な回復が困難であり、馬の競走生活に重大な影響を及ぼす可能性がある。
えん麦(えんばく)
馬の飼料として広く使用されている穀物。日本国内で生産される内麦と、輸入される外麦に大別される。外麦は栄養価が高いため、与える量を調整する必要がある。馬の健康管理や栄養状態の評価に、えん麦の消費量が参考にされることが多い。
追い切り(おいきり)
競走馬がレース前、通常出走の2〜3日前に行う最終調教。このトレーニングは馬のコンディションを最終確認し、レースでの最良のパフォーマンスを引き出すために重要。速いタイムを出すことも目標だが、馬の動きや反応、体調を見極めることが主な目的。この情報は後にファンやベッターへ「調教短評」や「調教解説」として提供される。
追い込み(おいこみ)
レースにおいて、最後の直線で後方から急速に追い上げる戦術。この戦術を用いる馬は「追い込み馬」と呼ばれ、レースの序盤ではじっくりと力を温存し、終盤に全力を発揮。ペースが速めのレースで効果を発揮しやすいが、ペースが遅いレースでは追い込みが決まりにくく、戦術の成功はレースの展開に大きく依存。
おいでおいで
レースで騎手が非常に大きなリードを持ち、余裕をもって勝利する様子を表す言葉。この表現は、騎手が他の競走馬を容易く引き離し、圧倒的な強さを見せつける場面で使われる。競走馬としての圧倒的な能力や、戦術的な優位性が明確に示される瞬間。
応援馬券(おうえんばけん)
競馬ファンが特定の馬を応援するために購入する馬券。通常は100円などの小額で購入され、勝利への直接的な期待よりも、応援する気持ちを表現するための象徴的な行為とされる。これによりファンはお気に入りの馬への支持を示し、レースへの一層の興味と関与を深めることができる。
桜花賞(おうかしょう)
春季、阪神競馬場で開催される三歳牝馬限定のクラシック競走。レース距離は1600メートルで、スピードを重視する馬からスタミナを要する中長距離適性の馬まで、幅広いタイプの競走馬が参加し、日本の牝馬クラシックの序幕を飾る。このレースは、若い牝馬たちにとって初めての大舞台となり、その年のトップ牝馬の座を争う重要なイベントである。
大穴(おおあな)
競馬において、非常に高い配当をもたらす予想外の結果。通常、大穴は人気の低い馬が予想を覆して高い順位に入ることにより発生。競馬ファンにとっては大穴が当たると大きな利益をもたらす一方で、その予測の難易度は非常に高い。
オークス
オークス(優駿牝馬)は、日本の競馬で、3歳の牝馬が参加する重要なレースである。牝馬のクラシック競走の一つであり、日本の競馬の最高峰の舞台の一つ。オークスは日本ダービーの前哨戦として位置づけられ、牝馬の能力や将来性を測る重要なレースとして注目されている。通常は5月に東京競馬場で行われ、日本中央競馬会が主催している。
おかぐら
馬の耳が普通と異なり横に垂れている状態を指す言葉。この特徴は特定の馬に見られる個性的な特徴で、一般的には馬の性能に直接影響はないものの、視覚的に識別しやすい特徴として注目される。
置き障害(おきしょうがい)
特定の障害レースでのみ設置される可動式の障害物。これらは通常の障害と異なり、レースごとに異なる位置に配置されることがあり、競走馬にとって予測しづらい新たな挑戦を提供。障害レースの戦術や結果に大きな影響を与える要素。
オグリキャップ
1985年に誕生した日本の伝説的競走馬。地方競馬から中央競馬に移籍後、数々のGI(グレード1)レースで勝利を収め、1980年代後半から1990年代初頭にかけての競馬ブームを牽引した。特にその驚異的な追い込みは多くのファンを魅了し、日本競馬におけるアイドルホースとして広く親しまれた。
抑える(おさえる)
騎手が手綱を絞り、馬のスピードを意図的に制御する行為。逃げ馬ではペース配分を調整するため、追い込み馬ではエネルギーを貯めるために行われる。適切な抑制は馬の掛かり具合にも左右され、騎手の熟練度が重要となる。調教においても抑え気味に追うことが求められ、過度な負担を避けつつ馬のコンディションを整える。
オッズ
馬券の払い戻し額を予測する数値。競馬場やオンラインベッティングサイトで公開され、賭ける馬の人気度に応じて変動する。オッズはレースの投票状況に基づき計算され、投票者にとっての期待値を示す。
お手馬(おてうま)
特定の騎手が主に騎乗し、深い信頼関係を築いている馬。この騎手は馬の性格や癖を詳細に理解しており、レースや調教において最大のパフォーマンスを引き出すことができる。お手馬はその騎手にとって特別な存在であり、しばしばその組み合わせから卓越した成果が期待される。
尾花栗毛(おばなくりげ)
栗毛の馬の中で、特に尾の毛やたてがみが白く見える毛色パターン。この特徴は視覚的に目立ち、美しさが際立つため、ファンにとって魅力的な存在となる。レースや展示においても注目を集めやすい。
重い(おもい)
馬体が重たい状態を表す表現。実際の体重が増加している場合や、動きが鈍くなっている様子を指す。また、レース条件としての馬場が悪く、走りにくい状態を指す場合もある。このような状況は馬のパフォーマンスに影響を及ぼすため、戦略の見直しが必要となることも。
重馬場(おもばば)
競馬場のコースコンディションが悪化し、地面が非常に重たい状態を指す。特に雨天後によく見られ、馬場の水分が多く、地面が泥濘(でいねい)しているため、馬の足が深く沈み込むことが多い。このような状態では、スタミナとパワーが求められ、通常とは異なるレース展開が期待される。重馬場は不良馬場に次ぐ悪条件とされ、馬や騎手にとって厳しい試練となる。
折り合い(おりあい)
馬と騎手の間の調和のとれた関係。騎手が望む通りに馬が反応し、コントロール下にある状態を指す。折り合いが取れていない場合、馬は騎手の指示を受け入れず、レースでの成績が悪化する可能性がある。適切な折り合いを実現することは、競走馬トレーニングにおいて重要な要素である。
下ろす(おろす)
競走馬を新たにレースに出走させる行為。特に若い馬が初めて競走に参加する際に使用される。障害レースに初出走する場合にも用いられ、馬の慣れと経験を積むための重要なステップとなる。
親子丼(おやこどんぶり)
一つのレースで同じ厩舎や馬主の馬が1位と2位を占めること。この現象は競馬において比較的珍しく、特定の厩舎や馬主の強さを示す象徴的な成果とされる。ファンや関係者にとっては大きな喜びとなる。
オーナーブリーダー
自らの牧場で馬を生産し、それを競走馬として走らせる馬主。この方法では、品質管理から育成、レース戦略まで一貫して行うことができ、効率的かつ経済的な利点がある。また、自身の理想とする馬を育て上げることにも繋がる。
オーバーシード
競馬場の芝生を季節ごとに適切な種類の芝で再生する作業。特に寒冷期に耐性のある芝を播くことで、一年中良好な競馬場の状態を保つ。この技術は競馬場の品質維持に不可欠で、レースの公平性と安全性を高めるために重要。
か行
外厩(がいきゅう)
中央競馬において調教師がトレーニングセンター外の民間施設を利用する制度。競馬会から調教師に貸与される馬房数は限られており、育成牧場や特定の施設を「外厩」として活用することで、故障馬や疲労回復が必要な馬のケア、育成が行われる。これにより、効果的な調教計画が可能となり、馬のコンディション管理に役立てられている。
外厩制、認定厩舎(がいきゅうせい、にんていきゅうしゃ)
調教師がトレーニングセンターの外にある認定された民間の育成施設を利用できる制度。この制度は中央競馬のみならず、地方競馬においても導入されており、例えばビッグレッドファームや社台ファームなどが知られている。外厩を利用することで、レース当日に直接競馬場に輸送するなど、柔軟な競走計画が可能となる。
カイ食い(かいぐい)
馬の食欲の状態を表す用語。カイ食いが良い場合は、馬の健康状態が良好でエネルギーが充足されていることを示し、調教やレースに向けて最適なコンディションであるとされる。逆にカイ食いが悪いと、体調不良やストレスなどの問題を示唆しており、注意深い管理が求められる。
外向(がいこう)
馬が立っている際に前肢が自然と外側に向いている状態を指す。外向肢勢は馬の姿勢やバランスに影響を及ぼし、場合によっては走行の効率や速度に影響を与えることがある。適切な調教で改善することが可能な場合もあるが、生まれつきの骨格によるものであることも多い。
戒告(かいこく)
競馬における最も軽い形の懲罰で、主に騎手や調教師がレース中のルール違反や不注意で安全な競馬運営を妨げた場合に科される。戒告は主に口頭での注意にとどまり、罰金や出場停止などより重いペナルティが科される前の警告として機能する。
外国産馬(がいこくさんば)
日本の競馬において、外国で生産された競走馬を指す。これらの馬は「マル外」として特定され、特定のレースでの出走が制限されることがあるが、グローバルな競馬市場の一環として、国際競走を含む多くのG1レースで活躍の場を広げている。
凱旋門賞(がいせんもんしょう)
フランスのパリ郊外にあるロンシャン競馬場で毎年開催される凱旋門賞は、ヨーロッパで最も権威ある競馬の一つ。長距離の2400メートルを走るこのレースは、アップダウンが激しく、深い芝のコースが特徴で、参加馬には高い体力とスタミナが求められる。日本馬もこれまでに多数挑戦しており、2019年時点での優勝はないが、世界中から注目される一大イベントである。
飼葉(かいば)
競走馬の主食となるえん麦をはじめとする、青草や乾草、にんじんなどを含む総称。栄養バランスの良い飼葉は馬の健康維持に不可欠であり、各馬の体質や健康状態に応じて適切に配合される。
返し馬(かえしうま)
レース前に行われる馬のウォーミングアップ。パドックから馬場に出た後、騎手が馬を軽く走らせて筋肉を温め、レースに備える。返し馬の様子は馬の体調や調子を判断する重要な手がかりとなり、観客やトレーナーによって注目される。
確定(かくてい)
競馬においてレース結果が正式に決定されるプロセス。レース後、入着馬の騎手は後検量を受け、全てのチェックが終了し、問題がないことが確認されると、最終的な着順が確定し、その結果に基づき配当が決まる。
角馬場(かくばば)
トレーニングや調教用の小さな馬場で、通常は調教コースの内側に設けられる。調教の初期段階での使用や、特定のトレーニングが必要な馬のために利用される。この馬場は通常、コンパクトで扱いやすく、馬の管理がしやすい環境が整えられている。
鹿毛(かげ)
馬の毛色の一種。栗毛の帯赤褐色または帯黄褐色の被毛が特徴で、たてがみ、尾、そして四肢の端はどの個体でも黒色を示す。この毛色は特定の遺伝子によって決定され、鹿毛特有の色合いは競走馬の識別に役立つ。
化骨(かこつ)
馬の成長過程における骨格の成熟を指す。特に競走馬の調教において重要で、骨が完全に成熟するまでの期間、馬の負荷耐性が低く故障しやすい。一般的に3歳になるまで骨は成熟し、この時期までは調教の強度を慎重に管理する必要がある。
ガサ
競走馬の体格や体躯を表す際に用いられる言葉。通常、筋肉質で骨格がしっかりしている馬に「ガサがある」と表現し、大型で迫力のある馬を評価する際に使われる。逆に「ガサがない」とは、体が小さく華奢な馬を指す。
貸服(かしふく)
競走時に騎手が着用する勝負服で、特定の事情で馬主の登録している色や模様を使用できない場合に、中央競馬会から提供される。貸服は一時的に提供され、通常は帽色と同じ基調色が用いられる。
粕毛(かすげ)
暗灰色の基調に白い刺し毛が混じる毛色。この毛色は特定の遺伝的要因により現れ、特に冬毛になる時に白い毛が顕著になることが多い。栗粕毛、鹿粕毛、青粕毛など、原毛色によってさまざまに呼称が分けられる。
ガス腹
風気疝といわれる病気で馬が空気を飲み込むことによって起こる消化器系の障害。特にグイッポと呼ばれる馬栓棒に門歯をかけて空気を吸引する癖のある馬に見られる。主な原因は粗悪な飼料や運動不足で、獣医師の介入が必要な状況もある。
過怠金(かたいきん)
競馬施行規定に違反した場合に課される金銭的罰金。これは競馬の公正を保つための措置であり、違反の重さに応じて金額が定められる。課される対象は騎手、調教師、馬主、厩務員など広範囲に及ぶ。
硬口(かたくち)
ハミに反応しない、指示に従わない馬の状態を指す。このタイプの馬は騎手の指示に対して頑固で、調教やレース中にコントロールが困難になることがある。硬口の馬は特別な調教技術を要することが多い。
勝馬投票券(かちうまとうひょうけん)
競馬ファンにとって欠かせない勝馬投票券、通称「馬券」は、競馬場や場外馬券売場(WINS)、オンライン(PATなど)で購入することができる。馬券には様々な種類があり、直接的な勝者を予想するものから、複数の馬の成績を予想する複雑なものまである。
ガフ
陰門吸引症を指し、主に牝馬に見られる病状。膣内に空気が入り込み、音が発生することからこの名が付いた。この状態は健康に直接的な害はないが、社会的な理由から手術で修正されることが多い。
壁(かべ)
レース中、騎手が前に進出しようとするも前に馬が密集しているために進路が塞がれる状態。この状況を「壁になる」と表現し、このために脚を余すことなくゴールするケースが発生する。
カラ馬(からうま)
騎手が落馬した後、騎手なしでコース上を走り続ける馬のこと。この馬が他の馬の進路に影響を及ぼすことがあり、レースの結果に不利な影響を与えることもある。
仮柵(かりさく)
特定の競馬イベントや状況に応じて設置される一時的な柵。これは芝コースの保護や特定のレースの設定距離を調整する目的で用いられ、助走距離を変更することによってレースの公平性を保つために役立つ。
ガレる
競走馬が痩せて体調が悪化すること。この状態は一般的に栄養不足や過度のストレス、過労が原因であり、馬の外見だけでなくパフォーマンスにも影響を与える。
変わり身(かわりみ)
特に休養後や一定の調整期間を経て、馬の状態が顕著に改善し、以前とは異なる優れたレースを見せること。この用語は馬が以前の不調から著しく回復した際に用いられる。
管囲(かんい)
馬の四肢の健康や強さを示す測定値の一つで、具体的には前脚の膝と球節の中間部の周囲を測る。この測定値は馬の全体的な健康状態と直接関連があり、一般的に大きな数値は強健な馬を示す。
カンカン
競走馬がレースで背負うべき総重量を指す。この重量には騎手、装具、その他の装備が含まれ、競走の公正を確保するために厳密に管理される。
雁行(がんこう)
レース中、複数の馬が斜めに並ぶ走行フォーメーション。この形態は先行グループの戦術や相互のポジション取りによって形成され、特定の戦術的な動きを示すことがある。
関東馬・関西馬(かんとうば・かんさいば)
日本の競馬において、関東馬と関西馬という言葉は地域に基づいた馬の分類である。関東馬は東京、中山、新潟、福島のトレーニングセンターで調教され、関西馬は京都、阪神、小倉、中京で調教される馬を指す。これらの区分は主にファンやメディアによって使用され、地域ごとの競馬文化や特性を反映している。
カンパイ
競馬におけるスタートのやり直し。発走が不正確または問題があった場合に行われる。発走委員が発走のやり直しを決定し、ゲート近くでそれを騎手に通知する。
関与禁止(かんよきんし)
競馬関係者が重大な規則違反を犯した場合に課される最も重い処分の一つ。この処分を受けた者は、競馬に関するあらゆる活動から排除される。
騎坐(きざ)
騎手が馬上でバランスを維持するために脚部で締めつける動作。鐙に頼らず騎坐だけで乗れる騎手は達者とされる。外国人騎手には馬上で大きなアクションを見せる者がおり、その背後には確かな騎坐が存在する。
騎乗停止(きじょうていし)
騎手に対する処分の一種。この処分を受けると騎乗停止期間中はレースに騎乗することができなくなる。処分の統一的な運用、不服申立てがあった際の審理時間の確保およびルールの国際調和の観点から、2020年より騎手に対する騎乗停止処分の始期を翌々節からとしている。
奇跡の血量(きせきのけつりょう)
父母を一代目とした場合、三代目と四代目に同じ祖先があると、その血量を18.75%持つ馬ができる。フィッツラックの18.75%理論ともいい、走る馬も多く出ている。日本ではダービー馬コダマがブランドフォードの18.75%として注目され、意識的に交配する生産者が増えた。
基礎牝馬(きそひんば)
同じ牝系に属する馬のグループを“ファミリー”と呼ぶが、多くの優れた馬を送り出したファミリーの原点となる牝馬を基礎牝馬という。例えば、日本の小岩井農場のビューチフルドリーマー系がシンザンを含む多くのクラシックホースを出している。
菊花賞(きっかしょう)
毎年晩秋に京都競馬場で開催される3歳牡馬限定のクラシック競走。皐月賞、日本ダービーに続く三冠最終戦であり、3000mという長距離が特徴的。この距離では、単なるスピードだけでなく、持久力と戦略が要求されるため、非常に厳しいレースとされている。勝利する馬は非常に高い評価を受け、「最も強い馬が勝つ」という格言がある。
黄旗(きばた)
時計旗とも言い、レーススタート時にゲートの5メートル前のスタートラインの内側に位置する係員が先頭馬の通過と同時に黄旗を振り下ろし、計測係がタイムを計測開始する。赤外線自動タイム測定器と併用されている。
決め手(きめて)
レースでの勝ち馬あるいは連対馬の戦法を決め手と言い、逃げ、先行、差し、追い込みなどがある。特に「決め手がある」とは勝負を決める末脚があるという意味で、差し、追い込み型の馬を指す。
脚質(きゃくしつ)
各馬が持つ得意な戦法や走り方を脚質と呼び、逃げ、先行、差し、追い込みの4つに分けられるが、ペースに応じて変わることもある。脚質に幅がある馬を自在型とも呼び、馬の成長と共に脚質は変わることもある。
キャンター・ギャロップ
駆歩にはキャンターとギャロップの二種類がある。キャンターは緩い駆歩で、馬がリラックスして走る際に用いられる。一方、ギャロップは襲歩または競走駆歩とも呼ばれ、競馬で主に使われる速い駆歩である。イギリスでは「キャンターで勝つ」という表現が、楽勝したレースに対して用いられる。
急仕上げ(きゅうしあげ)
競走馬のトレーニングは通常、時間をかけて行うが、目標レースに間に合わせるため急ピッチで仕上げることが必要な場合がある。この急仕上げは、場合によっては馬に負担を与え、その後のパフォーマンスに悪影響を及ぼすこともある。
厩舎(きゅうしゃ)
馬を収容する施設を指し、一般には一人の調教師が管理する厩舎全体を指すことが多い。厩舎情報や厩舎作戦など、競馬において重要な意味を持つ用語でもある。
厩務員(きゅうむいん)
厩務員は厩舎で馬の日常的なケアを行う職員で、トレーニング・センター場長の承認を得て調教師との間で雇用される。一人当たりの管理馬数は通常2頭で、馬の全ての面倒を見る。
胸囲(きょうい)
馬の体格を示す重要な指標の一つ。特に、馬の胸の周囲、肩甲骨の直後から測定され、馬の体力や持久力の一端を示す。
競走除外(きょうそうじょがい)
競走前に馬が疾病や事故により出走できなくなる場合に競走除外とされる。この措置により、その馬は競走から除外され、賭けられた金は返還される。
競争馬名(きょうそうばめい)
競走馬の名前。命名にはルールが存在し、カタカナで2文字から9文字の範囲内で設定される。GIレースの勝利馬や広告を意図した名前、紛らわしい名前は使用禁止。大きなレースを勝利した馬の名前は一定期間後に限り再使用可能だが、承認が必要。国内外の馬で命名規則に差がある点も特記される。
兄弟馬(きょうだいば)
同じ母馬から生まれた馬を指し、一般に全兄弟または全姉妹と言われる。父馬が異なる場合は半兄弟または半姉妹と称される。
京都競馬場(きょうとけいばじょう)
京都市に位置する中央競馬の主要競馬場の一つ。コースは第三コーナーに特徴的な坂が存在し、それ以外はほぼ平坦。重要なレースとして天皇賞(春)、菊花賞、マイルチャンピオンシップなどが開催される場所として知られている。
禁止薬物(きんしやくぶつ)
競馬において馬のパフォーマンスに影響を与える可能性のある薬物。使用が禁じられており、発覚した場合はその馬は競走から除外される。
近親交配(きんしんこうはい)
サラブレッドの血統において、親族間での繁殖を指す。一般的には血統表の上で5代以内に同じ馬の名前が複数回見られる場合を指し、優秀な競走馬を生み出す可能性が高いとされる。
斤量(きんりょう)
馬が背負う重量。この重量は競走ごとに異なり、馬の年齢、性別、過去の成績などによって調整される。
食い(くい)
飼葉食いまたはカイ食いとも呼ばれる。この用語は馬の食欲に直接関連し、馬の健康状態やストレスレベルを示す指標として使われる。良い「食い」は健康的な食欲を示し、逆に「食いが細い」や「食いが悪い」は潜在的な健康問題や不調を暗示している。
クイックピック
馬券購入時に利用するシステムの一つで、購入者が特定の馬や組み合わせを選ばず、コンピュータがランダムに選出した馬番号で馬券を購入する方法。このシステムは特に初心者や時間がない場合に便利で、迅速な馬券購入が可能となる。
グイッポ
馬が空気を飲み込むことで起こる習癖で、この行為は消化器系の問題を引き起こす可能性がある。特に、競走馬の中にはストレスや環境変化に敏感で、この癖が強く表れることがある。一度癖がつくと改善が難しく、馬の価値を著しく下げる要因となる。
癖馬(くせうま)
競馬では通常、馬のレース中の行動が予測しやすいことが求められるが、癖馬は予測不可能な行動を取りがちで、レースの予測を難しくする。これにはゲートでの躊躇や、レース中の逸走などが含まれる。癖馬は訓練により改善される場合もあるが、しばしば大きな課題となる。
口籠(くちかご)
リップネットとしても知られ、主に採食行動が異常な馬に使用される。これは馬が余計なものを食べるのを防ぐため、または過食を制限するために使用される。この装置は馬の口元に装着され、食料の摂取を物理的に制限する。
口取り(くちとり)
主にレース前の手続きを指し、特にゲートで馬が落ち着いて立つように支援する行動を含む。また、競走に勝利した馬の記念撮影で行われるセレモニーで馬の口元を整える行為も指す。
口向き(くちむき)
馬の口にある銜受けの状態を指す。騎手の手綱操作によって馬の意志を伝える重要なポイントであり、馬と騎手のコミュニケーションの一部である。良い口向きを確保するためには、微妙な手綱の操作や調教が欠かせない。
屈腱炎(くっけんえん)
競走馬の屈腱、特に前脚の屈腱に発生する炎症で、繰り返しの高負荷が原因で発生することが多い。この病気は治療が困難で、しばしば馬の競走生命に終止符を打つ。再発リスクも高く、管理が非常に厳格に行われる。
首差し(くびさし)
馬の首の位置や構造が競走性能に与える影響についての用語。首が適切な角度と強さで配置されていると、推進力が増し、速度とスタミナが向上する。適切な首差しはトレーニングにより改善可能である。
組合馬主(くみあいばぬし)
複数の個人や法人が共同で馬を所有する形態。組合馬主制度を利用することで、一頭の競走馬に対する投資額を分散させ、競馬の馬主としての経験をより手軽に、多くの人々に開放することを目的としている。参加者は馬主としての権利を共有し、レースの勝利時の賞金も分配される。
クモズレ
馬の球節に発生する摩擦や圧迫による外傷。特に競走馬では一般的で、適切な保護具を使用しないと慢性的な問題に発展する可能性がある。治療と予防が重要であり、競走馬のケアにおいて常に注意が払われる。
鞍(くら)
馬の背に置かれる、人や荷物を乗せるための装置。競走馬用の鞍は軽量で小さく、レース中の負担を減らすために設計されている。鞍がズレると「鞍ズレ」と呼ばれ、これが起きると鐙が踏めなくなり、レースに支障を来す。また、騎手が言う「ひと鞍でも多く乗りたい」というのはレース数を意味しており、「鞍数」はレースの回数を指す。
クラシックレース
3歳の新たな競走馬を対象とした五大レースを指す。これには桜花賞、皐月賞、オークス(優駿牝馬)、ダービー(東京優駿)、菊花賞が含まれる。これらのレースは、イギリスの五大クラシックレースを模範に創設された。これらのレースは各馬の能力を試す重要な舞台であり、三冠馬の称号はこれらのレースを制した馬に与えられる。
グランドナショナル
英国エイントリー競馬場で行われる、世界最大の障害レース。約6900メートルのコースに30の障害が設けられており、この過酷なレースは馬の体力と技術の限界を試す。日本の中山大障害はこのグランドナショナルに範をとって創設され、過去には日本のフジノオーが挑戦して注目された。
グランプリ
日本の競馬における二大GI競争、宝塚記念と有馬記念のことを指す。宝塚記念は6月に阪神競馬場で行われ、このレースは「春のグランプリ」とも呼ばれる。一方、有馬記念は12月に中山競馬場で開催され、「冬のグランプリ」と呼ばれている。これらのレースは年間を通じての競走馬の実力を試す大一番とされ、多くのファンに親しまれている。
栗毛(くりげ)
帯褐黄色の被毛を持つ馬の毛色。この色は明るい茶色に黄色味がかったもので、長毛も同色かそれに近い白色を帯びることがある。特に尾の毛が著しく白い場合は尾花栗毛と称される。
グレード制
競馬の重賞レースを分類し、その質と重要性を示すための制度。GI、GII、GIIIにカテゴライズされ、GIが最も重要な根幹競走を指し、GII、GIIIはそれに次ぐ競走とされる。この制度は競馬界の国際化に伴い、より統一された格付けが求められている。
黒鹿毛(くろかげ)
全体的に黒色が濃密な馬の毛色。特に馬体の3分の2以上が黒く、眼や口の周り、腹部などは帯褐色が見られることが特徴。この毛色は非常に特徴的で、競馬場で目立つ存在である。
繋駕速歩(けいがそくほ)
速歩競走の一種で、馬が小さな馬車を引いて競う形式。速歩競走は、馬が速歩で競うもので、常に最低一脚が地面に接触していなければならない。これは人間の競歩と似た規則で、主にトロッター種が使用されていた。日本の中央競馬で昭和43年に廃止されたが、一部地方では現在も行われることがある。
経済コース(けいざいこーす)
レースで最短距離を走ることを指すコース。コーナーを内側すれすれに通ることで、無駄な動きを省きエネルギーを節約する。騎手はこの経済コースをとることで他の競走馬より少ない距離を走ることができ、理論上は競走に有利に働く。
繋靱帯炎(けいじんたいえん)
競走馬にとって一般的な前肢の疾患。屈腱と同じく、繋靱帯にも高いストレスがかかり、炎症を引き起こしやすい。この症状を俗に「ナカスジ」と呼び、治療が困難で時間を要し、しばしば競走馬のキャリアに重大な影響を及ぼす。
軽種(けいしゅ)
軽快でスピードがあり、競走や乗馬に適した馬の分類。サラブレッド、アラブ、アングロアラブなどが含まれる。日本では、以前は準サラも軽種に含まれていたが、品種改訂により現在は存在しない。
鶏跛(けいは)
馬の異常な歩行様式で、「とりあし」とも称される。後肢が地面から離れる際に急激に飛節を上げる痙攣状の動作を示す。普通の歩行時に顕著で、外見上の違和感はあるが、競走能力には影響しないとされる。
競馬新聞(けいばしんぶん)
競馬新聞はレースに出走する馬の情報、過去の成績、騎手と調教師のデータ、馬場状態などを提供し、競馬ファンや専門家が予想を立てるのに利用される。また、レース結果や分析も掲載され、ファンの情報源として重要な役割を果たしている。
競馬法(けいばほう)
競馬の運営を規制する法律で、競馬の公正な実施を保証し、関連する経済活動を支援することを目的としている。この法律には、競馬の許可、監督、馬券の管理、ライセンス制度、不正行為への罰則などが含まれている。
毛色(けいろ)
サラブレッドの場合、毛色は栗毛、栃栗毛、鹿毛などに限られていたが、白毛馬のハクタイユウの認定以降、白毛も公式に認められた。毛色は血統登録時の重要な特徴の一つである。
決勝写真(けっしょうしゃしん)
競走が終了した際、ゴールラインを通過する瞬間を捉えた写真。この写真は着順判定の際に重要な役割を果たし、「写真判定」の基となる。
血統(けっとう)
馬の系統を指し、競走馬の能力や特性を推測する重要な要素。父母の血統を基に配合が行われ、競走馬の潜在能力に大きな影響を与える。血統書には詳細な家系が記載され、遺伝的特性の研究にも利用される。
毛ヅヤ(けづや)
毛ヅヤとは馬の毛の色と艶を指す用語で、馬の栄養状態や健康が良好なときには、毛がつやつやと光って健康的に見える。逆に、状態が悪い時は毛が立ち、光沢が失われる。手入れの良し悪しや光の当たり方、季節による変化も毛ヅヤに影響を与えるため、これらの条件を踏まえて馬の健康状態を見極めることが求められる。
気配(けはい)
競馬における「気配」とは、馬の動きや出来具合、気分の充実度を総合的に観察した状態を指す。馬の落ち着き具合や動作の活発さなどから、その日のコンディションを推測することができる。また、追い切りやレース前の様子を「中間の気配」として評価し、競走能力の発揮を予測する際に重要な指標となる。
毛ばなが咲く(けばながさく)
「毛ばなが咲く」とは、馬の被毛が逆立ち、光沢を失う現象を指し、主に馬が高熱を出した時に見られる。この状態は、ブラシをかけても改善されず、馬の疲労や体調不良のサインとされる。競走馬の調子が落ちている可能性が高いため、注意が必要である。
検疫(けんえき)
競馬における検疫は、馬の健康保持と疾病の国際的な拡散を防ぐために重要な措置である。輸入や輸出時には、定められた期間、馬は検疫施設で観察される。また、国際競走に参加する際にも、特定の厩舎での検疫が求められ、疾病の早期発見と隔離が目的である。
顕彰馬(けんしょうば)
顕彰馬とは、日本中央競馬会が設けた制度で、競馬の発展に寄与した優れた競走馬を表彰し、その業績を後世に伝えるためのものである。1984年に始まったこの制度は、競走馬の功績を顕彰することで、競馬文化の発展と継承を図ることを目的としている。
権利取り(けんりとり)
特定のレースに出走する資格を獲得するためのプロセス。クラシックレースなど賞金や出走権が限られている競走では、トライアルレースで上位に入賞することで出走権を確保する。また、一定の条件を満たすことで特定の競走に出走する資格を「取得した」と表現される。
検量(けんりょう)
騎手の負担重量を正確に計ること。レース前とレース後に実施され、前検量では出走予定の全騎手が、後検量では上位入賞騎手が対象となる。これはレースの公正を保つための重要なプロセスである。
減量騎手(げんりょうきしゅ)
若手または見習い騎手が一定期間、負担重量の割引を受ける制度。これにより若手騎手が経験を積みやすくなるように設計されており、負担重量の割引は騎手の勝利数に応じて決定される。
ゲート
競馬で使用される発馬機のこと。レースが公平に始まるように設計されており、「ゲートが良い」「ゲートが悪い」という表現は馬のスタートの出方を指す。良いゲートは素早くスムーズなスタートを意味し、悪いゲートは出遅れや出不精を意味する。
控除率(こうじょりつ)
競馬の売り上げから払戻金を差し引いた割合。約75%が払戻金として配当され、残りの25%が控除率として徴収される。このうち10%が国庫への納付金、15%が競走の賞金や運営費に充てられる。単・複馬券では配当に5%上乗せされるため、実質の控除率は約20%となる。
降着(こうちゃく)
競走中に他馬に不利を与えた馬の着順を下げる処分。違反が認定されると、審議委員会によって降着が決定される。降着によって、不利を受けた馬の順位が繰り上がることがある。
膠着(こうちゃく)
競走中に馬が動かなくなる状態。出遅れやゲート内でのトラブルが原因となることが多い。競走中に膠着が発生した場合、スターターが対応することが求められる。
交突(こうとつ)
馬が歩行中に自身の蹄鉄で他の肢に接触する異常な歩様。このような行動は馬の安全に関わるため、調整が必要である。馬の足の健康を保つために、定期的な蹄鉄の交換やメンテナンスが行われる。
コーナー
競馬コースの曲がり角を指し、レース中に馬が曲がる場所です。馬は速度を維持しながら、内側のラインを確保するために外側の馬と競り合います。うまく曲がることで、後半の直線でのポジションが有利になります。コーナーでの位置取りやスピード調整が勝敗を左右します。
興奮剤(こうふんざい)
競走馬の能力を一時的に高める薬品。禁止薬物であり、競走の公正さや健全性を保つために厳しく規制されている。興奮剤の使用が発覚した場合、厳しい罰則が科される。
交流競走(こうりゅうきょうそう)
地方競馬と中央競馬の間で行われる競走。地方競馬と中央競馬の交流を促進し、地方競馬の競走馬が中央競馬の重要な競走に出走できる機会を提供する。
国営競馬(こくえいけいば)
日本の競馬を中央競馬会が運営する形態を指す。1950年に創設され、日本で唯一の公営競馬として、競馬の統括・運営を担っている。主な開催地は東京、中山、京都、阪神などで、GI競走や重賞レースが行われる。競馬法に基づき、安全な競走の実施や賭け事の適正化が図られており、競馬産業の発展や社会貢献にも取り組んでいる。
国際交流(こくさいこうりゅう)
日本の競馬が世界と連携し、国際的なレベルで競馬を行う取り組みを指す。欧米やオーストラリアなど各国との交流があり、日本から派遣される競走馬や騎手が海外のレースに参加し、逆に外国からの競走馬や騎手が日本のレースに出走する。1958~59年のハクチカラのアメリカ遠征が始まりで、近年ではジャパンカップなど国際的なレースが注目を集めている。これにより、日本の競馬は国際的な競馬シーンに組み込まれ、競走馬や騎手の交流が活発化し、競馬のグローバル化が進んでいる。
後乗り(ごごのり)
通常、競走馬の調教は早朝に行われるが、馬場の凍結や積雪などの理由で朝の調教が困難な場合、午後に馬場入りして調教すること。気温が上昇してから乗るため、太目の馬には汗をかきやすく、適切な状態での調教が可能となる。
腰ふら(こしふら)
腰麻痺の俗称で、突然の腰の病気や障害により、馬が腰の動きを制御できなくなる状態を指す。腰痿や跛行、後躯麻痺などの運動障害が生じ、馬の能力に影響を及ぼす。
コズミ
競走馬が過度の調教や疲労により、肩や腹、腰、背、四肢の筋肉や靭帯、腱などに痛みを伴う軽度の筋炎を指す俗称。馬の歩様がぎこちなくなり、動きが制限されることがある。調教量や休息の適切な管理が重要である。
骨量(こつりょう)
競走馬の骨格がしっかりしており、各部位の骨が太く発達していることを指す。脚の骨が太く、関節が大きい馬は骨量が豊富であるとされ、競走能力や耐久性の向上につながるとされる。
固定障害(こていしょうがい)
競馬場に設置された障害コースで行われる障害競走の障害。土塁障害や生籬障害、竹柵障害、水濠障害などがあり、地形や障害の特徴によって異なる。障害競走の特色となる要素の一つ。
古馬(こば)
2歳馬の出走する期間以降の馬を指す。3歳以上の馬は「古馬」と呼ばれ、年齢やレース条件に応じて競走に出走する。競馬シーズンや競走条件によって定められる。
5F(ごはろん)
競馬の距離単位で、5ハロン(約1000メートル)を指す。レースの前半1000メートルを示す場合にも使用され、競走戦略や馬のポジショニングに影響を与える。
ころがし
馬券の購入方法の一つで、的中した馬券の配当金を次のレースの購入に使い、続けて的中を目指す方法。連勝して配当金を増やすことを目指す戦略であり、リスクとリターンのバランスが求められる。
仔分け(こわけ)
繁殖牝馬の所有者が、生産者との間で仔馬の売却代金を一定の割合で分け合うこと。生産者と馬主が共同で競走馬を育成する形態であり、繁殖牝馬の所有者が競走馬を育成しやすくする仕組み。
ゴーグル
騎手がレース中に着用する保護メガネ。風雨や砂などから目を守り、視界を確保する役割を果たす。競走条件や天候に応じて適切な数を重ねて装着することがある。
さ行
再騎乗(さいきじょう)
落馬した騎手が再び馬に乗って競走を続けること。2017年1月1日以降、国際的な調和と騎手・馬の保護を目的として禁止されている。
裁決委員(さいけついいん)
着順の確定や異議の申し立てに対する裁定、出走馬や騎手に対する安全対策と裁定、競馬の公正性を保つための取り締まりなどを担当する重要な役職。
再審査(さいしんさ)
レース中に斜行や逸走があった場合に裁決委員によって行われる制裁。走路調教再審査や発走調教再審査などがあり、合格しない場合は次のレースに出走できない。
下げる(さげる)
レース中に騎手が意図的に馬のポジションを後方に下げること。末脚を生かす馬は速いペースについて行っても持ち味を発揮できないため、後方に下げてチャンスを待つことがある。
笹針治療(ささばりちりょう)
ハリ治療の一種で、急性の筋肉疲労でうっ血している部分に施される治療法。笹針は「三稜針」と呼ばれる針を用い、新陳代謝を促進して疲労を取り除く効果がある。競走馬の休養前に行われることが多く、休養期間は最低でも1カ月程度とされている。
ササる
馬が調教やレース中に内側に斜行することを指す。脚が一杯になって苦しくてササる場合や、馬自身の気性や癖でササる場合がある。後者の場合、左回りでササる馬は右回りに斜行することが多く、「ヨレる」と呼ばれることもある。同じ斜行でも、「モタれる」という言葉も使われるが、これらの言葉には微妙な違いがある。
差し脚(さしあし)
競走馬の走り方の一つで、先頭の馬たちに追いついてから競り合うスタイルを指す。先頭の馬を交わすことを「差し切る」といい、交わせなかった場合は「差し届かなかった」と表現される。また、先頭に立った馬が後方から追いつかれ、交わされた後に再び先頭に立つことも「差し返す」と呼ばれる。
差し馬(さしうま)
競馬のレースで第4コーナーから直線にかけて、中団以下から好位に上がり、先行する馬たちを交わすレースぶりをする馬を指す。差し馬は、スピードタイプの馬からスタミナを自慢とする馬まで、様々なタイプの強い馬が含まれる。
挫跖(ざせき)
馬の蹄底に生じる内出血や炎症のことを指す。馬が走っている際に、後ろ足の蹄先が前足の蹄底に当たることや、硬い物に踏まれることで発生する。特に蹄底が浅い馬や、足の踏み込みが良い馬によく見られる。挫跖が進行すると、蹄が熱を持ち、跛行がひどくなる場合がある。
皐月賞(さつきしょう)
春に中山競馬場で行われる、3歳牡馬によるクラシックレースである。2000mの距離で行われ、スピードタイプの馬からスタミナを自慢とする馬まで、あらゆるタイプの強い馬が覇権を争う。皐月賞では、「最も速い馬が勝つ」という格言がある。
サラブレッド
馬の品種の一つで、純血種として知られる。イギリスで長い年月をかけて競走馬として育種されてきたもので、その優れた運動能力や速度が特徴。現在、日本の競馬ではサラブレッドのみが競走している。
三冠馬(さんかんば)
競馬界において非常に稀少であり、特別な称号を持つ馬のこと。日本の場合、皐月賞、日本ダービー(東京優駿)、菊花賞の3つのクラシック競走を制覇した3歳馬を指します。これらの競走は、距離や馬場状態など異なる条件で行われ、全て制覇することは極めて困難です。三冠馬はその年の最強の3歳馬として認知され、競馬史に名を刻む偉業とされます。
産駒(さんく)
特定の種牡馬や繁殖牝馬から生まれた馬のことを指す。種牡馬の名前を前につけて「〇〇の産駒」と表現されることが一般的であり、その馬の家系や血統を示す重要な情報となる。
三大始祖(さんだいしそ)
現代のサラブレッドのほとんどが、ダーレー・アラビアン、ゴドルフィン・アラビアン、バイアリー・タークの3頭の牡馬に遡る血統を持っていることを指す。これらの始祖は、サラブレッドの血統を形成する上で非常に重要な役割を果たしている。
3分3厘(さんぶさんりん)
競馬のレース中、ゴールまでの距離のうち約660メートルの地点を指す。競走中における戦略的なポイントとして、騎手や関係者の間で用いられることがある。
3連単(さんれんたん)
競馬の馬券の一種で、1着から3着までの馬を順番通りに予想して的中させる馬券のことである。
3連複(さんれんぷく)
競馬の馬券の一種で、1着から3着までの馬を順不同で予想して的中させる馬券のことである。
▼こちらの記事では3連複について詳しく解説しています!

仕上がり(しあがり)
競走馬の調教やトレーニングにおいて、馬体が最も良い状態になった時点を指す言葉。競走に適した馬体になったことを示し、無駄な脂肪がなく、筋肉が適切に発達していることを意味する。「仕上がり途上」とは、まだ最適な状態に達していないことを示す。
JRA(じぇい・あーる・えー)
ジャパン・レーシング・アソシエイションの略称であり、日本中央競馬会を指す。競馬の運営や管理、調教施設の運営などを行っており、日本の競馬を統括している。
JRA育成馬(じぇい・あーる・えー いくせいば)
JRAが全国のサラブレッド1歳馬市場で購入し、JRAの施設で育成された馬のこと。また、日高育成牧場で生産されたサラブレッド(JRAホームブレッド)も含まれる。JRAはこれらの馬を用いて、競走馬の育成技術の向上や研究開発に取り組んでいる。
ジェーンビット
馬の口に装着される嚙み鐙の一種。銜身を支える金属枠が口内の位置を安定させ、手綱の操作が強化される。特に口の動きに敏感な馬に効果がある。
仕掛ける(しかける)
騎手が馬に対してスパートをかけること。競走中に手綱を引いたりステッキを使ったりして加速させ、有利なポジションを獲得する行為。
軸馬(じくうま)
連勝式馬券で、特に注目される中心となる馬のこと。連勝に絡む可能性が高く、成績が安定しているが、決め手に欠ける場合もある。
自在(じざい)
競馬で使われる用語の一つで、「自在脚質」として知られる。これは、先行してレースを進めるだけでなく、差しや追い込みも可能な馬の脚質を指す。ペースに合わせて臨機応変に走ることができ、どんな競走でも適応できる器用なタイプの馬を指す言葉として用いられる。
市場取引(しじょうとりひき)
一般的には「せり取引」とも呼ばれ、公開のせり市場で馬の売買が行われる取引のことを指す。価格が透明であり、他の者にも明確に分かるようになっている。
下見所(したみしょ)
競馬場において、発走の約30分前に入場する場所。ここでは、馬の出走情報や体調、騎手の乗り替わりなどが掲示され、ファンは各馬の状態を確認することができる。騎手が騎乗し、馬場に出ていく様子も観察できる。
失格(しっかく)
入線した順位が取り消されて着順が失効することを指す。極めて危険な行為や規則違反があった場合、あるいは決められた時間を超えて入線した場合などに適用される。
終い(しまい)
レースの最後の部分を指し、直線やゴール前での走りを表す。騎手が「終いが甘かった」とか「終いでいい脚が使えた」と表現することがある。この時、馬の最後のスパートや能力を指す場合もある。
遮眼革(しゃがんかく)
馬の目の前を遮るために使用される装具で、ブリンカーとも呼ばれる。気性の荒い馬や他の馬に気を取られやすい馬に装着され、集中力を高める効果がある。遮眼革には形やデザインが異なるものがあり、馬の性格やニーズに応じて選択される。
斜行(しゃこう)
競馬中に馬が斜めに走ることを指す。他馬の進路を妨げたり、事故の原因となることがあり、騎手がレース中に注意を怠った場合、戒告や騎乗停止などの制裁を受けることがある。障害競走では、飛越時に斜めに飛ぶことを「斜飛(しゃひ)」とも呼ぶ。
社台ファーム(しゃだいふぁーむ)
競走馬の生産と育成を行う牧場。現在、社台グループの一翼を担い、ノーザンファームを中心に展開している。社台グループは日本の競走馬産業において中核を成す巨大な組織である。
シャドーロール
馬の鼻の上に装着される、羊の毛などで作られた太いモール状の装具。馬が走る際に前脚の動きや、物の影や芝の切れ目などに驚かないようにする効果がある。
秋華賞(しゅうかしょう)
日本の競馬界における牝馬三冠の最終戦であり、秋に京都競馬場の2000メートルの芝コースで行われます。日本の牝馬クラシック競走の一つで、華やかなる牝馬たちの戦いが注目されます。牝馬の成長と競走能力を試す重要な一戦であり、優れた牝馬が名を馳せる場となっています。
15-15 (じゅうご・じゅうご)
競走馬が1ハロン(約200メートル)を15秒平均のスピードで走る、または走らせることを表す。調教の際に使用され、馬の体力や調子を調整する目安として利用される。15-15ができるようになると、次の段階の強い調教に進むことができる。
重賞競走(じゅうしょうきょうそう)
競馬の特別競走の一種で、賞金が高く重要視される競走を指す。五大クラシックレースや天皇賞、有馬記念などが重賞競走に分類され、オープン馬で争われる。
収得賞金(しゅうとくしょうきん)
競走条件を区分するための賞金のこと。競走で1着や2着になった馬が獲得する賞金であり、馬の成績に応じて異なる額が設定される。
習癖(しゅうへき)
馬が運動時や馬房内で行う様々な癖の総称。トレーニングや飼育管理によって矯正されるが、競走中の癖は騎手が注意しなければ事故の原因になることがある。
蹴癖(しゅうへき)
馬が人や他の馬を蹴る癖のこと。周囲に危険をもたらすため、トレセンや牧場では注意が払われる。
出走停止(しゅっそうていし)
競走の公正を保つために、馬が競走に出走することを一時的に停止する処置。競走中の危険行為や健康上の問題、不正行為などが理由となる。
出走取消(しゅっそうとりけし)
競走前に出走を取り消すこと。急な疾病や事故などの理由で、馬が競走に出走できなくなった場合に行われる。
種牡馬(しゅぼば)
競走馬の父馬のこと。優れた成績や血統を持つ馬が選ばれ、繁殖に用いられる。競走馬の生産において重要な役割を果たす。
準オープン (じゅんおーぷん)
競走馬は競走番組上の条件によって分類されるが、オープンに次ぐクラスである。通常、3勝クラスに位置し、「準オープン」と呼ばれることもある。このクラスで勝利すると、その馬はオープンクラスに昇格する。
馴致(じゅんち)
競走馬の調教過程で、段階的に馴らしていくことを指す。広義には、生まれたばかりの馬を競走馬として育て上げる全ての過程を含む。初期段階では、馬装馴致(鞍やハミを着けること)から始まり、次に騎乗馴致(人を乗せて馬に慣れさせること)、そして調教馴致(競走馬としての最終的な仕上げ)へと進んでいく。
昇級戦(しょうきゅうせん)
競走で勝利することによってクラスが上がることを指す。その馬の昇級後の最初のレースを「昇級戦」または「昇級緒戦」と呼ぶ。レース後には、「昇級戦での走り」という表現がしばしば使われる。
条件(じょうけん)
レース 中央競馬では、収得賞金によってクラス分けされた競走が行われる。条件レースは、クラス分けされた競走の一種であり、オープンや新馬戦、未勝利戦、重賞などとは区別される。条件レースには、3歳(4歳)以上1勝クラスや3歳(4歳)以上2勝クラスなどが含まれる。
勝負服(しょうぶふく)
競走中に騎手が着用する服。中央競馬では、馬主が所有する色や柄の勝負服を騎手が着用する。馬を識別するため、勝負服には一定の規定があり、類似する色の勝負服は登録できない。
ジリ脚(じりあし)
競走馬の脚質の一つ。瞬発力に欠け、速い脚を使えないタイプを指す。ペースが速くなると粘りを発揮するが、勝利には至らず、しばしば2、3着になる傾向がある。
白毛(しろげ)
馬の毛色の一つで、白色またはほぼ白色である。生まれたばかりの頃は白いが、成長に伴って有色斑や有色毛が現れることもある。白毛の馬は青い眼の持ち主が多い。
白旗(しろはた)
競走中、スタート地点から約200メートル先に立っている人が持つ旗。発走委員が赤旗を振って正しい発走を示すと、その後に白旗が左右に振られる。騎手はこの合図を見て馬を止め、スタートをやり直す。
シンガリ
競走中における最後尾のことを指す。シンガリ負けとは、レースを最下位で終えることを意味する。漢字表記の「殿(しんがり)」も用いられ、他馬を一気に交わして優勝する場合には「殿一気(シンガリいっき)」と表現されることもある。
シンジケート
競走馬の所有権を共有する株主の組織。通常、1頭の競走馬の所有権を数十の株に分割し、株主はそれぞれの株に応じた割合で種牡馬の種付け権を持つ。
新馬戦(しんばせん)
競走馬が初めて出走するレースを指す。このレースで勝利できなかった場合、以後は「メイクデビュー戦」に出走することはできず、未勝利戦に回ることになる。ただし、稀に未勝利戦でもグレードが高いレースに出走する馬も存在する。
心房細動(しんぼうさいどう)
競走中に発生する心臓の発作の一つ。急激なスピードダウンを伴い、骨折などと間違われることがある。原因や治療法は不明であり、一過性のものであれば自然に治癒する場合もある。
末脚(すえあし)
競走馬が最後の直線で発揮する脚力のことを指します。ゴール前での伸び脚が良好な場合、「末脚が切れる」と評されますが、逆にゴール前で踏ん張りが利かない場合は「末脚が甘い」と表現されます。
スクミ
馬の筋肉が硬直してしまう状態。馬の肩にスクミが見られる場合、疲労が蓄積されたり、急激な運動が原因で発生する。この状態では、馬のパフォーマンスが低下し、休養や軽い運動(調教を含む)によって回復させる必要がある。
スクーリング
競馬の世界では、新しく競馬場でレースをする馬に対して行う下見のこと。馬が競馬場の環境やコースに慣れるために、馬運車での輸送から始まり、装鞍所やパドック、馬場への出入り、コースでの足慣らしなど、様々な経験をさせる。
スタミナ・インデックス
種牡馬の産駒が平均的に勝つ競走の距離を示す指標。日本の競馬界では、競走距離が短くなる傾向があり、スタミナよりもスピードが重視される傾向がある。
ステイヤー
長距離レースで優れた成績を収める馬を指す。これらの馬は2400メートル以上の距離で競走し、スタミナに優れている。しかし、日本の競馬界では、中距離戦から長距離に適応する馬が多く、本格的なステイヤーが育つことは稀である。
スパイラルコース
競馬場の設計を指す。このコースでは、第1、第3コーナーのカーブが緩やかで、後半になるほど急になり、最終的には第2、第4コーナーが鋭角になる。この設計により、馬が螺旋状に走るようになる。JRAでは東京、中山、札幌以外の各競馬場で採用されている。
スパーピン
飛節内腫の俗称で、飛節の前内側に骨瘤が発生する関節炎を指す。この症状は、若い馬が強い調教を受けたり、飛節を曲げたりすることで発症しやすい。また、古馬でも飛節が曲がっている馬や、歩行時に飛節を捻るような馬にも見られる。
ズブい
「ズブい馬」とは、馬自身が積極的に走らず、騎手が積極的な補助を加えないとレースの流れについていけない馬を指す。このような馬は上がりのかかるレースで特に力を発揮する傾向があり、短距離戦には向かない傾向がある。一方で、「古馬になってズブさが出てきた」という表現もあり、馬が経験を積むにつれてレースの動きに適応していく様子を表す。
スプリンター
短距離(一般に1400メートル以下)戦に強い馬を指す。短距離レースは多く組まれており、スプリンターはその活躍の場を持つ。かつては短距離レースは軽く見られていたが、現在ではスプリンターズSや高松宮記念などのG1レースも開催され、スプリンターに対する注目も高まっている。
スプリンターズステークス
日本の競馬界で最も権威のある短距離競走の一つ。毎年秋に中山競馬場で行われ、1200メートルの距離で争われる。このレースはGI(最高位)競走に指定されており、日本のトップスプリンターが集まり、短距離のチャンピオンを決定する。
生産牧場(せいさんぼくじょう)
競走馬の生産と育成を主な目的とする牧場。通常は繁殖用の牝馬を所有し、種牡馬の配合や交配を行い、生まれた馬を育てて売買する。生産牧場は育成牧場とは異なり、生産から育成までを一貫して行う。
せったる
馬の背部が凹んでいる状態を指す用語。背中の線がたるんでいることで、前後躯のバランスが悪い馬が多い。軽度の場合は競走能力に影響しないとされるが、斤量が重くなると負担が大きくなることがある。
攻め馬(せめうま)
馬の調教において、走る能力を引き出すことを目的とする作業の一環。主に馬場での走行練習を指し、馬の体力とスピードを向上させるために行われる。最終段階の調整として行われる「追い切り」とは異なるが、調教の重要な要素の一つである。
せり
競売のことを指す用語。競走馬や繁殖牝馬などが公開の市場で売買される際に用いられる。生産者が希望価格を提示し、購買者が価格を上げていく形式で行われる。競売は馬の価値を客観的に評価し、公正な取引を促進する役割を果たす。
競る(せる)
2頭以上の馬が進みながら争う状態を指す言葉。逃げ争いや好位争いなど、競走中において馬同士が前進しようとして争う様子を表す。競り合いの激しさはレースの結果に大きな影響を与えることがある。
背割れ(せわれ)
馬体がまだ絞り切れておらず、背中に無駄な脂肪がついている状態を指す。馬の体型をスマートに見せるためには、背割れを解消することが重要である。
先行(せんこう)
競馬において、レース中に前方の位置に進出することを指す。逃げることだけでなく、好位につけることも含まれる。競走戦略の一環として重要な位置取りの戦術の一つである。
前日追い(ぜんじつおい)
競走日の前日に行われる馬の最終調整のこと。直前の馬の状態を確認し、最適なコンディションでレースに臨むための調整作業として行われる。
前哨戦 (ぜんしょうせん)
GⅠレースの概ね1から1か月半前に行われる、競馬場や距離など、本番のGⅠレースと類似した条件のレースのこと。ステップレースともいう。3歳のGⅠレースは、トライアルレースなどが前哨戦に該当する。また、下表左欄に定める古馬のGⅠレースは、前哨戦のうち、下表右欄のレースで第1着となった馬に優先出走権が与えられる。
疝痛(せんつう)
馬の腹痛のこと。急性胃拡張や腸捻転などの状態を総称して指す。競走馬にとって深刻な疾患であり、致命的な場合もある。
セン馬(せんば)
去勢された牡馬のことを指す。去勢は馬の性格や体型の改善だけでなく、競走能力やストライドの伸びなどにも影響を与える。
喘鳴症(ぜんめいしょう)
馬の喉頭部の病気で、呼吸時に狭窄音が発生する症状を指す。競走中の呼吸に影響を与え、競走能力を低下させることがある。
旋毛(せんもう)
馬の「つむじ」のこと。馬の毛が渦巻き状になって生えている部位を指す。馬の体毛の流れやパターンを表す用語であり、個体ごとに異なる特徴を持つ。
装鞍所(そうあんじょ)
競走馬がレースに出走する前に訪れる場所で、様々な準備が行われる。馬体重の計量や健康状態の確認、蹄鉄の検査などが行われる。騎手の持参した鞍が馬に装着され、レース直前に出走準備が整えられる。装鞍所では水や飼料などの給与は行われず、競馬関係者以外の立ち入りは制限される。
装蹄師(そうていし)
馬の蹄の手入れを行う専門家であり、削蹄や装蹄を担当する。蹄は馬の重要な部分であり、直接的または間接的に競走能力に影響を与えるため、装蹄師の役割は非常に重要である。装蹄師には日本装削蹄協会が実施する講習会を受講し、認定試験に合格する必要がある。
総流し(そうながし)
競馬の連勝式馬券で、1頭(または1枠)の軸馬を選び、他の全ての馬(または枠)を相手に選ぶ買い方。一般的に「流し買い」とも呼ばれる。
相馬(そうま)
馬の体格や外観を評価する際に用いられる言葉。均整が取れ、骨量が豊富で幅広く、品があり、皮膚が薄い馬が好まれる。
ソエ
競走馬に見られる管骨瘤や炎症の俗称。過度な調教や装蹄の不良などが原因で発生することがある。競走能力に直接的な影響を与えることはなく、焼いて固めるなどの処置が施される。
続行競馬(ぞっこうけいば)
天災地変や台風、降雪などの影響により、当日の競馬開催が予定通り行えない場合に採られる措置の一つ。この場合、予定していたレースの半数以上が中止となった場合に続行競馬が行われる。続行競馬では、中止されたレースの出馬投票をやり直し、開催日が変更される。また、取り止められたレースの勝馬投票券は全て返還(買戻し)される。
外回り(そとまわり)
競馬場の内回りと外回りの2つのコースのうち、外側を指す用語。外回りコースは、内回りに比べてカーブが緩やかで、追い込み型の馬にとって有利な場合がある。
外枠発走(そとわくはっそう)
競走馬が競走開始時に外側のゲートから発走すること。ゲート内での暴れやゲートの破損などの理由で、外側のゲートに配置されることがある。この場合、能力表などで外側の枠について明示される。
ソラを使う
競走中や調教中に、馬が走ることへの意欲や集中力を失うこと。直線で先頭に立つと急激にスピードを落とす馬が見られる場合がある。
た行
待機馬(たいきば)
一定期間、競走に出走せず待機している競走馬のこと。例えば、夏季に中央競馬場が休みとなり、ローカル競馬が開催される際、中央競馬に出走しないで待機する場合がある。同様に、冬季の中央競馬場ではダート競走が主体となるため、芝競走を主戦場とする馬は春まで待機することもある。
体高(たいこう)
競走馬の背の高さを示す指標。馬のき甲の頂点から地表までの垂直距離を測定し、体高として表現される。体高は馬の大きさやスタイルを評価する際に重要な要素となる。
対抗馬(たいこうば)
競馬において、本命馬に対抗できると見込まれる馬のこと。対抗馬は、レースにおいて一定の実力を持ち、本命馬に対抗して優勝する可能性があると見なされる。
滞在競馬(たいざいけいば)
競走当日に競馬場に入厩し、レースに臨むこと。一般的に、競走馬はレース前日に競馬場に入厩して滞在し、レースに備える。特に、遠征先の競馬場に滞在してレースに臨む場合は滞在競馬と呼ばれる。
帯同馬(たいどうば)
遠征馬とともに競馬場に同行する馬のこと。遠征馬を支援する役割を果たす馬であり、競馬場での状況を知るために同行することが多い。
タイムオーバー
競馬で使われる重要なルール。レース中、1着の馬がゴールする時間よりも遅くゴールすると発生する。未出走馬や未勝利馬には特に厳しい。1回目の場合、1カ月間、2回目は2カ月間、3回目以降は3カ月間、平地競走に出走できない。ただし、裁定委員が特別な事情を認める場合は例外がある。この制度は競馬の公平性と競技安全性を保つために設けられている。
宝塚記念(たからづかきねん)
阪神競馬場で開催されるGI競走で、春の競馬シーズンの総決算として位置づけられている。毎年初夏に行われ、日本を代表する競走馬たちが一堂に会する壮観なレースである。
ダク
速歩を指す言葉である。通常、競走馬はレース前にウォーミングアップとしてコースを1周くらいの速歩で移動することがある。これを「ダク」と呼び、特に攻め馬の場合に多く見られる。過去には、繋駕速歩競走において速歩を得意とする馬を「ダク馬」と呼んでいた。
叩く(たたく)
競馬において、二つの意味で用いられる用語である。一つ目は騎手がレース中に馬に鞭を使うことを指す。これにより馬に刺激を与え、力を引き出すことを目的とする。もう一つの意味は、馬が調整や調教の過程で競走前にレースを経験することで、その後の本番レースでのパフォーマンスを向上させることを指す。例えば、「休み明けを叩いて馬体が絞れた」といった表現は、馬が前回のレースを経験して調整が進み、次のレースに向けて調子が良くなったことを示す。
種馬(たねうま)
競走馬の繁殖に用いられる種牡馬のことを指す。競馬界では、種馬というと主に種牡馬を指すが、厳密には種牝馬も含まれるべきである。しかし、一般的には産駒に与える影響が大きいのが牡馬であるため、種馬といえば種牡馬を指すことが多い。種牡馬は繁殖牝馬と交配され、競走馬の次世代を生み出す役割を果たす。
ターフビジョン
競馬場やテレビで提供され、レース映像を視聴するサービス。リアルタイムでレースの様子を観戦し、馬券購入やレース展開確認に利用される。
タメる
馬が自身の力を適切に使い分けることを指す。例えば、逃げ馬がレース中に一定の距離を保ちながらペースを落とし、最後の直線で力を出し切る戦術を「タメ逃げ」と呼ぶ。また、追い込み馬が最後の直線で一気に駆け上がるために、レース中に余分な力を使わずに温存することも「タメる」と表現される。
単穴(たんあな)
予想評価の一つで、▲印で表される馬を指す。単勝の穴馬と呼ばれ、勝つ可能性はあるが、条件や展開によっては惨敗する可能性もある馬につけられる印である。しかし、実際には上位争いをする可能性のある馬として見られることが多く、▲印と単穴の意味が必ずしも一致しないこともある。
単騎(たんき)
レース中に他の競走馬に並ばれたり競り込まれずに1頭でレースを運ぶことを指す言葉である。逃げ馬が主に用いる表現であり、「単騎で行けた」というのは、馬が自身の力だけで競走をコントロールし、他馬に追い付かれることなくレースを進めたことを意味する。
単勝式(たんしょうしき)
競馬における馬券の一つで、1着になる馬を予想する賭け方を指す。大昔は主要な馬券の一つであったが、現在では単勝単複の組み合わせでの販売が主流となっている。連勝式など他の馬券の普及により、売り上げが減少している。
単走(たんそう)
調教やレース中に、1頭の競走馬が他の馬と並ばずに独自に走ることを指す。特に調教での単走は、馬が自身のペースで走ることで集中力を高め、最適な調整を行うために重要である。
ダークホース
競馬やスポーツの世界で、あまり知られていないが実力を持ち、人気馬を上回る可能性のある選手や馬を指す。一般的には、期待されていない選手や馬が予想外の活躍をすることを表す言葉として用いられる。
ダートコース
競馬の施行コースで、主に砂で構成される。日本の競馬は元々芝が主流だったが、芝の保護を目的にダートコースが設置された。アメリカのダートコースをモデルにしており、1961年に東京競馬場で初めて導入された。各競馬場に設置され、中央競馬の主要競馬場やローカル競馬場にも広がった。ダートコースの特徴は砂の敷き方で、クッション性が向上している。好成績を収める馬は一般的に「ダート馬」と呼ばれ、パワーが求められる。
ダービー
ダービーは1780年にイギリスで始まり、3歳の牡馬と牝馬が混合して競走する名門レース。日本でも1932年に第1回が開催され、正式名称は『東京優駿競走』。南関東の「東京ダービー」は特に有名。競馬以外でも「〇〇ダービー」という言葉は、第一人者を選ぶ際に幅広く用いられる。
チークピース
馬に装着されるブリンカーと同様の役割を果たす装具である。競走中に馬の視界を遮り、集中力を向上させるために使用される。馬の頬の部分に装着され、レース中のパフォーマンス向上に寄与する。
父内国産馬(ちちないこくさんば)
馬の父親が日本国内で生まれた馬を指す。かつては外国からの種牡馬が多く導入され、国産の種牡馬を奨励するために、父内国産馬のレースや賞金制度が存在した。しかし、現在ではそのような特典はなくなり、父内国産馬も他の馬と同じように競争に臨む。
地方競馬(ちほうけいば)
日本の競馬を、中央競馬とは異なる地方で行われる競馬を指す。北海道、東北、南関東、東海など、全国各地で開催されており、地域ごとに競馬場が存在する。地方競馬も中央競馬と同様に興行され、多くの競馬ファンが観戦に訪れる。
地方競馬全国協会(ちほうけいばぜんこくきょうかい)
1962年に設立された特殊法人であり、地方競馬を統括する組織である。2008年に地方共同法人となり、地方競馬の運営・管理にあたっている。略称はNARと呼ばれており、全国各地の地方競馬場を管轄している。NARは競馬の振興や地域活性化、競馬文化の普及などを目的として活動しており、地方競馬の発展に向けた様々な取り組みを行っている。
着外(ちゃくがい)
レースで勝利した馬以外の順位を指す。通常は、馬券の対象となる3着までを「着」とし、それ以降を着外と呼ぶ。着外の馬には賞金が支払われず、成績表などでは1~3着と着外(4着以下)が分けて表示される。
着差(ちゃくさ)
ゴールした馬と次にゴールした馬の間の距離を指す。鼻先から鼻先までの距離を競馬用語で着差と呼び、馬身やハナ、アタマ、クビなどの単位で表現される。着差はレースの結果を評価する上で重要な要素であり、馬の力の差やレースの様子を示す指標として利用される。
着順(ちゃくじゅん)
レースの順位を示す。ゴールに到達した馬の順位のことであり、1着から順に2着、3着と続く。着順は競馬の結果を確定させる基準であり、1~3着までの馬が賞金や栄誉を得ることができる。
着狙い(ちゃくねらい)
勝つことよりも上位に入ることを目指して戦うこと。特に、勝利する見込みが薄いレースや、登録馬が少ないレースで上位に入ることを目指して戦う。着狙いの馬や騎手は、レース戦略や走法を工夫して上位に入ることを目指す。
中穴(ちゅうあな)
高い配当が期待されるレースのことを指す。人気馬同士が争うレースで、予想が難しい場合に中穴と呼ばれることがある。中穴は万馬券や高配当のレースとして知られ、馬券購入者にとって興味深い対象となる。
中央場所(ちゅうおうばしょ)
中央競馬が行われる競馬場のことを指す。主要な競馬場として、東京、中山、京都、阪神が挙げられる。これらの競馬場で主要なレースやグレード制の競走が行われ、競馬ファンの注目を集める。
中間(ちゅうかん)
競走馬において、前回の出走から次の出走までの期間を指す。馬の調整やトレーニングが行われる期間であり、馬が競走に臨むための準備が整えられる。厩舎関係者や競馬ファンの間では、中間の状態や調整が話題になることがある。
抽せん馬(ちゅうせんば)
競走馬育成のプロセスの一環であり、JRAが全国の競走馬市場で購入した馬を指す。また、日高育成牧場で生産されたJRAホームブレッドもこれに含まれる。これらの馬はJRAの施設で育成され、競走馬としての能力を向上させるための技術や研究開発に活用される。
調教(ちょうきょう)
競走馬の能力を最大限に引き出すために行われる訓練のことである。馬をしつけ、レースでのパフォーマンス向上を目指す。調教には様々な方法やテクニックがあり、それぞれの馬の特性や調教師の指示に応じて行われる。
調教駆け(ちょうきょうがけ)
調教中に速いタイムで走る、あるいは他の馬と併走し攻め馬として走ることを指す。調教駆けは馬の能力を評価し、レースでの走りを改善するための重要な訓練方法の一つである。
調教師(ちょうきょうし)
競馬厩舎の責任者であり、馬の育成やレースへの出走計画を立てる役割を担う。調教師は厩舎内のすべての活動に責任を持ち、馬の調教や管理、騎手の指示などを行う。
調教助手(ちょうきょうじょしゅ)
調教師の補助をする役割を持つ者を指す。競走馬の調教や管理を担当し、調教師の指示に従って馬のトレーニングやレースへの準備を行う。
調教審査(ちょうきょうしんさ)
競走馬が競馬に出走するために必要な審査のことである。競走馬は調教審査に合格しなければレースに出走することができず、審査では馬の調教状況や能力が評価される。
調整ルーム(ちょうせいるーむ)
競馬場やトレーニングセンターに設置された騎手の宿泊施設のことである。騎手の心身の調整やレース前の準備を行うために使用され、騎手が競走に集中できる環境を提供する。
追突(ついとつ)
競走馬が走る際に、後ろ足が前足を踏んでしまう現象。これは通常、馬の後肢の踏み込みが強すぎるか、前肢が地面から低く蹴り出すために起こり、時には蹄鉄がずれる原因となることもある。この問題を未然に防ぐための調整が調教で求められる。
使い減り(つかいべり)
競走馬が短期間の間に頻繁にレースに出走し、その結果として体調を崩す現象。特に体質が弱い馬や消耗しやすい馬がこの問題に直面しやすい。管理者はレース間隔や調教の強度を慎重に選定し、馬の体調維持に努める必要がある。
ツキアゲ
競走馬の蹄球部に発生する挫傷から生じる炎症で、特に地面が硬いコースや激しいトレーニングが原因で起こりやすい。この症状は馬のパフォーマンスに直接影響を与え、適切な治療と休息が必要とされる。
月毛(つきげ)
月毛は馬の毛色の一種で、クリーム色から淡い黄白色の被毛を持つ。主に北海道和種に見られるこの毛色は、長毛も同色か白に近い色を示す。アメリカから輸入される乗馬用のパロミノも月毛に分類される。
つつまれる
レース中に他の馬に囲まれてしまい、進路が制限される状態。このようなポジションでは馬が本来の力を発揮することが困難となり、最適なレース展開を見つけるための戦略的な動きが騎手に求められる。
繋(つなぎ)
馬の脚部で、蹄と球節の間に位置する部位。この部分は主にショックアブソーバーとして機能し、走行中の衝撃を軽減する役割を担う。競走馬ではこの部位の健康が非常に重要であり、過度なトレーニングによる損傷は走行能力の低下を招く。
強目(つよめ)
トレーニングセッションやレースで馬が示す、積極的だがまだ余力を残している走り。この状態での馬は、適切なタイミングで追い込まれると更なる速度を発揮することが期待される。
ツル頸(つるくび)
競走馬が神経質であるか興奮状態にあるときに見られる、首を高く持ち上げる姿勢。この状態の馬は集中力が散漫になりがちで、パドック内での行動がその日のパフォーマンスへの手がかりとなることもある。
蹄叉腐爛(ていさふらん)
馬の蹄叉の角質部分が腐る病気で、蹄の溝に悪臭を放つ汚物が溜まる。この状態は馬の歩行に影響し、他の蹄病の原因となることも。厩舎の不衛生や蹄の手入れ不足が主な原因で、定期的な清掃と蹄のケアで予防が可能。
蹄鉄(ていてつ)
馬の蹄に装着する金属製の保護具。訓練と競走用で使用される蹄鉄は異なっていたが、現在は兼用型のアルミニウム合金製蹄鉄が普及しており、競走前後の交換の必要がなくなった。この変更により蹄の健康が保たれやすくなっている。
蹄葉炎(ていようえん)
馬の蹄内部の血液循環が悪化して起こる炎症。重い負担を長時間受けることで発症しやすく、激しい痛みを伴う。病勢の進行を防ぐためには早期発見と適切な治療が必要で、治療が遅れると予後不良のリスクが高まる。
DDSP(軟口蓋背方変位(なんこうがいはいほうへんい))
喉の軟口蓋が正常位置からずれ、呼吸を妨げる状態。この疾患は特に若い競走馬で見られ、呼吸時にゼロゼロあるいはゴロゴロ という異常音が発生し、運動中の呼吸困難を引き起こす。成長に伴い改善される場合もあるが、適切な馬具の使用で症状の管理が行われる。
定量(ていりょう)
収得賞金に関係なく、馬の年齢や性別に応じて、出走馬全体に一定の負担重量を設定する競馬の方法である。この方式は、日本ダービーや有馬記念などの一部の重要な競走で採用されている。
出遅れ(でおくれ)
競馬でゲートが開いた瞬間遅れてスタートすることを指す。この現象は、ゲートの操作に馬が適切に反応しなかったり、馬自体のスタートダッシュが遅いために起こる。レースにおいて出遅れは一般的に不利とされるが、戦略次第で逆転のチャンスになることもある。
手がわり (てがわり)
騎手や厩務員が変更されることを指し、戦略的な理由や偶発的な事情で行われる。この変更は馬のパフォーマンスに大きな影響を与える可能性があるため、ファンやベッターは特に注目する。
テキ
調教師を指す競馬界独特の俗語。騎手が調教師を兼務していた歴史的背景から生まれ、現在でも厩舎関係者間で頻繁に使用される。
デキ
馬のレース前の仕上がり状態を指す言葉で、トレーニングの成果やコンディションを表す。良好なデキはレースでの成功が期待される状態を示す。
出ッパ (でっぱ)
レースのスタート速度を指す用語。ゲートから素早く飛び出す馬を「出ッパがいい」と評価する。
鉄砲(てっぽう)
長期休養後に馬を出走させてすぐに良い成績を挙げること。休養明けにも関わらず、馬が高いパフォーマンスを発揮する能力を「鉄砲が利く」と表現し、この戦術を得意とする調教師は「鉄砲使いがうまい」と評される。特に休養から復帰した初戦での成績が良い場合、その馬の回復力と調教師の技術が称賛される。
手の内に入れる
騎手が特定の馬との相性と理解が深まり、馬の性格や脚質を完全に把握して自由自在に操作できる状態。このような馬を「お手馬」と称し、これらの馬は騎手にとって非常に扱いやすい。言い換えれば、騎手と馬との間の信頼関係が確立されている証拠でもある。
手前(てまえ)
競走馬が走る際にどちらの脚を前に出してバランスを取るかを示す。左脚を前にする「左手前」、右脚を前にする「右手前」と区別される。馬は通常、直線では一定の手前を保持し、コーナーで手前を切り替えることが多い。手前をスムーズに切り替えられない馬は、走行中にバランスを崩しやすい。
出ムチ(でむち)
レースのスタート直後からムチを使用すること。特にスタートが遅い馬や、戦略的に速く走り出す必要がある馬に対して行われる。この行為は馬に迅速な動きを促し、積極的なレース展開に寄与する。
出目(でめ)
競馬の馬券における組み合わせ番号。特定の馬番や枠番の組み合わせがどれだけ頻繁に勝利しているかを示す指標であり、馬券選びの際に重要な参考データとなる。馬券購入者はこれらのデータを分析して、どの組み合わせが有利かを判断する。
テレビ馬
大きなレースで力不足とされる馬が、テレビ放送で目立つために無理やり前に出る戦略を取ること。これにより注目を集めることはできるが、実際の競走能力には影響しない。この戦略はレースのペースを乱す可能性があり、他の競走馬の戦略に影響を与えることがある。
テン
レースの開始直後のフェーズを指し、特にスタートの速さや最初の数ハロンでのポジショニングが重要とされる。良い「テン」はレース全体の戦略を有利に進める基盤を作る。また、初めて特定の馬に乗る騎手がその馬との連携を確認する機会でもある。
展開(てんかい)
レースの進行状況や各馬の位置関係、ペースを示す用語。展開を正確に読むことができれば、勝ち馬の予測がしやすくなり、馬券の選択にも大きな助けとなる。展開予測は専門家だけでなく一般のファンにもレースの醍醐味を提供する。
天神乗り(てんじんのり)
騎手が馬の背に垂直に座る古い騎乗スタイル。体重が直接馬にかかり、加速が難しくなるが、騎手の安定感は増す。現代ではほぼ見られないスタイルで、ほとんどの騎手が動きやすいモンキー乗りを採用している。
伝貧(でんぴん)
馬伝染性貧血の略称。このウイルス性の疾患は高熱と貧血を繰り返し、感染が広がると群れ全体の健康が脅かされる。日本では感染防止のために厳格な検査と検疫措置が施されており、感染した馬は通常、安楽死の措置が取られる。
東京競馬場(とうきょうけいばじょう)
東京競馬場は日本の中央競馬で最も重要な競馬場の一つで、東京都府中市に位置している。1929年に開設され、現在では日本ダービーや天皇賞(春・秋)、ジャパンカップなど、国内外から注目される大レースが多数開催される。コースは左回りで、芝とダートの両方のトラックがあり、長い直線距離が特徴。これにより、スピードとスタミナが求められるレース展開が魅力の一つとなっている。また、施設内には広大な観客席と多様なレストランがあり、観戦体験も充実している。
当歳馬(とうさいば)
その年に生まれた馬を指す用語で、日本では「とねっこ」とも呼ばれる。2001年以降、日本も国際標準に合わせて満年齢表記に変更された。これにより、平地競走では生後2年経過後、障害競走では3年経過後に初めてレースに出走できるようになる。これは馬の成長と安全を考慮した規定である。
当日輸送(とうじつゆそう)
競馬開催日に競走馬をトレーニングセンターから競馬場へ輸送するプロセス。関東地区では美浦トレーニングセンターから東京や中山競馬場へ、関西地区では栗東トレーニングセンターから阪神、京都、中京競馬場への輸送が一般的である。遠距離の輸送は計画的に行われ、場合によっては事前に競馬場に入厩することも認められている。
同着(どうちゃく)
レースで2頭以上の馬がゴールラインを同時に通過し、写真判定でも勝者を決定できない場合に認定される。同着の場合、関連する賞金は順位に応じて分配され、単勝馬券では両馬が的中となる。連複馬券の場合、2着が同着であれば、さらに多くの配当が的中となる可能性がある。
頭絡(とうらく)
馬の頭部に装着する馬具で、ハミを馬の口に適切な位置に保持させる役割を担う。この装置は馬を操る際の基本ツールであり、ハミなしで使用するときは「端綱」と称される。頭絡は厩舎関係者にとっては馬の管理や訓練に欠かせないアイテムである。
特払い(とくばらい)
競走が成立したが的中券が1票も売れていない場合に適用される特別払い戻し。この制度により、投資した金額の70%が払い戻される。中央競馬では昭和46年の福島競馬以来実施されていないが、地方競馬では3連単など新しい賭式の導入に伴い、実施例が見られる。
特別登録(とくべつとうろく)
中央競馬の特別レース出走に必要な手続き。クラシック競走では最大で3回の登録が求められ、通常の特別レースはレースの約1週間前に登録する必要がある。出馬投票は競走の当該週の木曜日に締め切られ、これが出走に向けての最終確認となる。
特別レース(とくべつレース)
一般条件レースとは異なり、特定の名称が付けられた競走のことを指す。これには「〇〇特別」、「〇〇ステークス」、「〇〇賞」などが含まれ、各レースは独自の条件や賞金が設定されている。また、これらのレースには事前の特別登録が必要で、出走馬やそのオーナーには特定の要件が求められる。特別レースにはグレード制度に基づいたG1からG3までの重賞レースも含まれ、これらは競馬のハイライトとして特に高い評価と注目を集める。
栃栗毛(とちくりげ)
栃栗毛は栗毛の中でも特に暗めのこげ茶色をした馬の毛色を指す。被毛がやや黒みがかった色合いで、たてがみや尾などの長毛も被毛と同色または白に近い色を帯びることが特徴。この色は特定の遺伝子の影響で表れる。
トモ
馬体を前躯、中躯、後躯の三つに分けた際の一番後方を指す部分。尻、尾、股、後肢が含まれ、特に後肢を指すことが多い。トモは馬の推進力の源であり、逞しい後肢は良い競走馬の重要な特徴とされる。
トライアル
クラシックレースや主要な競走の前哨戦となるレース。トライアルレースを通じてその後の大レースへの出走権を獲得する馬が決定される。これらのレースは「○○トライアル」と名付けられ、上位入賞馬には優先出走権が与えられる。
トラックマン
競馬専門紙の記者を指し、朝早くから競馬場やトレーニングセンターで馬の調教を観察し、レース予想や分析のための情報を収集する。彼らは厩舎を訪れては出走予定の馬の状態を詳細に取材し、その情報を元に記事を執筆する。
トレーニングセンター
競走馬の訓練施設で、関東の美浦と関西の栗東が有名。これらの施設では馬と関係者が集中し、効率的に調教や管理が行われる。地方競馬にもトレセンが存在し、近年では民間の育成牧場もトレセンと呼ばれることがある。
トータリゼーター
勝馬投票券の売上高を表示する機械で、現在では発売機、電子計算機、概算払い戻し表示機が一体となったトータリゼーターシステムが用いられている。このシステムは賭けられた金額に基づいてリアルタイムでオッズを計算し、表示する機能を持つ。
な行
内向(ないこう)
馬が立っている際に足先が内側に向く状態を内向肢勢と言い、一般に「内向」と呼ばれる。足先が外に向く場合は「外向」という。これらの肢勢は馬の立ち姿や歩行に影響を与え、特に内向の馬は運動効率が低下することがあるため、適切な調教が求められる。
内国産馬(ないこくさんば)
日本国内で生まれた馬を指す。日本で生まれたが外国で種付けされた場合でも、1984年以降は内国産馬として扱われるようになった。一時的に外国に輸出された牝馬が日本で受胎して外国で出産した場合、その子馬も特定の条件下では内国産馬と認定される。
ナイラ
腺疫とも呼ばれる馬の伝染病で、主に若馬に発症しやすい。ほとんどの馬が一生に一度は感染するとされるほど一般的な病気で、腺疫菌によってリンパ腺が化膿するのが特徴。冬季から初春にかけて発症しやすく、適切な抗生物質の投与で治療が可能であるが、重症化すると致死的な結果に至ることもある。
中山競馬場(なかやまけいばじょう)
千葉県船橋市古作に位置し、日本中央競馬会(JRA)が主催するレースが行われる場所である。この競馬場の最大の特徴は、直線に存在する急傾斜の坂で、この坂がレースの結果に大きな影響を与える。直線が比較的短いにも関わらず、この坂を利用した差しや追い込みが成功しやすく、レースの結末が予測しにくい面白さを提供している。中山競馬場で開催される主なレースには、冬のグランプリと称される有馬記念やクラシックの一つ皐月賞、短距離戦のスプリンターズステークスなどがある。
流し買い(ながしがい)
特定の馬や枠番を基点として、そこから他の馬や枠へ連なる形で馬券を購入する方法。この戦略は広範囲に配当の可能性を広げるが、コストも増大する。全馬に対して行うときは「総流し」と呼ばれ、広範囲のカバーを目指す。
夏負け(なつまけ)
高温多湿の環境下で馬が示す熱中症に似た症状。顔や鼻の周りの毛が脱落し、皮膚が光沢を帯びて汗が出なくなる。軽い運動で呼吸が荒くなるため、夏期には運動を控えさせる必要がある。牡馬では睾丸の腫れを伴うこともあり、根本的な治療法は確立されておらず、休養が最も有効な対策とされる。
鉛(なまり)
競走馬の負担重量を調整するために使用される鉛板。鉛板は通常、鞍下の特別なポケットに入れられるが、稀に騎手が胴巻に入れて使用することもある。鉛の代わりに500グラム単位のゴムパッドを使用することもあり、これによって馬のレース時のパフォーマンスに微調整を加える。
常歩(なみあし)
馬がリラックスした状態で見せる普通の歩き方。パドックでの展示や馬場入りの際にこの歩様が観察され、馬の健康状態や気性をチェックするのに役立つ。常歩がスムーズで落ち着いていると、その馬が良好なコンディションであると評価されることが多い。
逃げ馬(にげうま)
スタート直後から積極的に先頭に立ち、そのままレースをリードする戦術を取る馬を指す。逃げてそのまま勝利することを「逃げ切り」と呼び、最後まで先頭を保つことができれば逃げ切りに成功したとされる。また、先頭を維持しながらも最後に他の馬に追い越されるものの、粘り強く順位を保つことを「逃げ粘る」と表現する。逃げ馬はしばしば周囲の馬との競争を避けることで最大限のパフォーマンスを発揮し、予想外の結果をもたらすことがある。
二走ボケ(にそうぼけ)
休養明けで好成績を収めた馬が、次のレースで期待外れの成績に終わる現象を指す。初戦の好走で体力を消耗し、見えない疲労が残っているため、次のレースでその影響が出ると考えられる。馬やそのコンディションを知る上で重要な指標とされ、トレーナーやベッターはこの現象に注意を払う。
二人曳き(ににんびき)
馬がパドック内で二人によって誘導されること。通常は一人で馬を曳くが、気性が激しい馬や緊張しやすい馬は、安全を考慮して左右から二人がサポートする。これにより馬が暴れることを防ぎ、レース前の安定を図る。二人曳きは馬の気性を示す指標としても利用される。
二の脚(にのあし)
レース中に一度ペースダウンした後、再びスピードを上げることを「二の脚を使う」という。特にスタート直後の加速が重要とされ、この能力はスプリントレースなど短距離戦での勝敗を左右する。また、追い込み戦術を得意とする馬が見せる再加速も「二の脚」と評される。
日本ダービー(にっぽんだーびー)
日本ダービー、通称東京優駿は三歳牡馬のクラシック競争で、日本競馬の頂点に位置するレースとされる。毎年春に東京競馬場の2400メートルコースで開催され、参加するサラブレッドはスピード、スタミナ、精神力の三つを兼ね備えている必要がある。このレースは全ホースマンの夢の舞台であり、「最も運がいい馬が勝つ」という格言もあるほど、予測が難しい。国内外から高い注目を集め、競馬の格式を象徴するイベントとなっている。
日本中央競馬会(にほんちゅうおうけいばかい)
日本中央競馬会(JRA)は日本の中央競馬を統括する機関で、国内の主要な競馬場の管理と運営を行っている。中央競馬は地方競馬と異なり、JRAが一括して手がけ、国内外から優れた競走馬が集まる競技場を提供している。公正な競走の実施と競馬の発展に寄与し、高い水準の競馬文化を支えている。
入着馬(にゅうちゃくば)
レースで上位5着以内に入る馬のこと。特に1~3着に入ることを一般に入着と称し、4着以下は着外とされる。入着馬には賞金が与えられ、その成績は馬の評価や今後の出走クラスに影響を与える。入着馬の成績は競馬ファンや専門家によって詳細に分析される。
ニューポリトラック馬場(にゅーぽりとらっくばじょう)
高い排水性とクッション性を備えた全天候型馬場。電線被覆材やポリエステル不織布、ポリウレタン繊維、硅砂、ワックスを混合して作られ、雨天時でも馬場の悪化が少なく、走行時のキックバックも抑えられる。また、冬季でも凍結せず、散水作業の必要がないため、年間を通して安定したコンディションが保たれる。
庭先取り引き(にわさきとりひき)
馬の売買が個人間の直接交渉によって行われる場合を指す。セリ市場とは異なり、取引価格や条件が非公開で行われるため、一般にはその詳細が明らかになることは少ない。庭先取り引きはプライバシーを重視するオーナー間で行われ、しばしば個別のニーズに応じた柔軟な取引が可能となる。
主取り(ぬしとり)
セリ市場で馬に適切な買い手がつかないか、提示価格が生産者の希望に達しない場合に、生産者が自ら価格を設定して引き取る行為。この方法は、馬の価値を保持し、将来的に望ましい条件で再販するために利用される。生産者はこの手段を通じて、市場の不確実性から馬の価値を守り、管理を継続する。
年度代表馬(ねんどだいひょうば)
その年の中央競馬を代表する競走馬を指す。このタイトルはJRA賞受賞馬選考委員会によって決定され、委員会は新聞、放送、競馬専門紙の代表者から構成される。報道関係者の投票に基づき、各部門賞の中から最も卓越した成績を収めた馬が選ばれる。対象部門には最優秀2歳牡馬、最優秀2歳牝馬、最優秀3歳牡馬、最優秀3歳牝馬、最優秀4歳以上牡馬、最優秀4歳以上牝馬、最優秀短距離馬、最優秀ダートホース、最優秀障害馬が含まれる。表彰は翌年1月に行われるJRA賞授賞式で行われ、1986年までは月刊誌「優駿」が主催していたが、1987年からはJRAが主催している。
ノーザンファーム
北海道に位置する日本を代表する競走馬の育成牧場であり、社台グループに属している。この牧場は1994年に社台ファームが分割された際に「社台ファーム早来」という旧牧場名から「ノーザンファーム」へと改名された。日本の競走馬育成においてトップクラスの実績を誇り、数多くの優秀な競走馬を輩出してきた。ノーザンファームの育成馬は国内外の競馬場で卓越した成績を収めており、その質の高さで広く知られている。
能力検定(のうりょくけんてい)
地方競馬では、デビュー前や一定期間競走から離れていた馬、他地区から転入した馬などに対して能力検定が実施される。この試験では決められた距離をゲートからスタートし、定められたタイム内に走破することが求められる。タイムをクリアできない馬はレースへの出走資格を得られないため、競走能力の確認として重要な役割を担っている。
ノミ屋(のみや)
私設馬券屋のことで、競馬法により勝馬投票券の購入委託を業として行う行為は違法とされている。ノミ屋を利用すると、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科される可能性がある。馬券の不正購入を防ぐため、競馬ファンは公式のチャンネルを通じて馬券を購入すべきである。
乗り運動(のりうんどう)
馬の日常的なトレーニングの一環であり、調教の前や午後に実施される。健康な馬はほぼ毎日乗り運動を行い、筋肉をほぐし調教の準備を整える。この運動はトレーニングセンター内の馬道や角馬場で約30分から1時間程度行われ、馬の歩様をチェックすることで健康状態を確認する重要な手段となっている。
乗り込む(のりこむ)
競走馬の調教において、十分なトレーニングを積んで競走に臨むこと。特に休み明けや初出走の馬にとって、充分に乗り込まれた状態であるかどうかがパフォーマンスに大きく影響する。長目を乗り込むとは、実戦での持久力を鍛えるために、通常より長い距離をキャンターで乗ることを指す。
乗り役(のりやく)
競走馬の騎手を指す俗称。特定の戦略やレースプランは乗り役に委ねられることが多く、騎手の技術や経験が競走の結果に直結する。騎手が変更されることを「乗り替わり」と呼び、その馬に初めて騎乗する場合は「テン乗り」と称される。
は行
配当金(はいとうきん)
的中した馬券に対して支払われる金額のことを指し、単に配当とも呼ばれる。レースの結果に基づき計算され、投資した金額に対するリターンを示す。
馬格(ばかく)
馬の体の大きさや骨格のことを言い、一般に「ガサ」とも表現される。馬格があるとは、馬が大きく骨格がしっかりしている状態を意味し、これは通常、外見が大型の馬を指す。逆に馬格がないとは、馬が小柄であることを示し、これは競走能力にも影響を及ぼす要因の一つとされる。
馬鹿つく(ばかつく)
レース中に馬がコントロールを失い、急に外側に逸れたり、急停止したりする行動を指す。このような行動を取る馬を馬鹿つき馬と呼び、主に馬の気性や調教の問題が原因とされる。レースにおいてはこれが大きな不利となり得るため、騎手や調教師はこの問題を解決するために様々な対策を講じる。
歯がわり(はがわり)
馬が乳歯から永久歯に生え変わる過程を指す。この期間は特に3歳から5歳の間に発生し、クラシックシーズンに重なることが多い。歯がわりの影響で馬の食欲が落ちたり、一時的に体調を崩したりすることもあり、競走馬のパフォーマンスに直接影響を与える可能性がある。
拍車(はくしゃ)
騎手が馬の腹部に刺激を与えるために使用する馬具で、騎手の長靴のかかとに取り付けられる。2020年以降、馬の福祉と国際的なルールの統一を目指し、全ての競走での拍車の使用が禁止された。過去には特に気性の鈍い馬に対して効果的とされていたが、現在はその使用が許されていない。
馬券(ばけん)
競馬の勝馬投票券を指し、レースの結果に対する賭けを行う際に購入される。中央競馬では単勝、複勝、連勝複式など様々な賭け方が存在し、地方競馬ではさらに多様な賭け方が提供されている。馬券の種類や購入方法はその競馬場やレースによって異なり、競馬ファンにとって選択肢の幅広さが魅力の一つとなっている。
跛行(はこう)
馬が脚の故障により正常に歩行できない状態を指す。具体的には、負重する際に疼痛を示す支柱跛行、挙楊や前進時に痛みがある懸垂跛行、またはこれらが混在する混合跛行が含まれる。原因としては骨、腱、関節、筋肉、神経の異常が考えられ、特定できない場合は肩跛行や寛跛行などと区分されることがある。跛行の診断と治療は馬の健康管理において重要であり、適切な医療介入が必要とされる。
馬体重(ばたいじゅう)
競走馬の体重のことで、レース当日には発走約70分前に装鞍所で公式に測定される。この情報はパドック、場内、ウインズのテレビ等で公開され、ファンや関係者にとって馬のコンディションを判断するための重要な指標となる。中央競馬では2キロ単位、公営競馬では1キロ単位で測定されており、体重の急激な増減はパフォーマンスに影響を及ぼす可能性がある。
肌馬(はだうま)
繁殖用の牝馬を指す言葉であり、厩舎関係者間では単に「肌」とも表現される。これは牝馬の体質や状態を評価する際に使われ、その馬の繁殖能力や健康状態を示す際の用語として用いられる。良い肌馬は繁殖業において価値が高く、その子孫からも優れた競走馬が生まれることが期待される。
バックストレッチ
競馬場においてホームストレッチ(スタンド前の直線)の反対側に位置する直線部分を指す。この区間ではレースのペースが設定され、中盤の戦略が展開される。バックストレッチをうまく利用した騎手は、終盤のホームストレッチでの競争に有利な位置を確保するための重要な動きを行う。
発情(はつじょう)
繁殖牝馬が種付けを受け入れる状態を指し、春先から夏にかけて約3週間ごとに周期的に現れる。この時期に獣医師の診断を受け、確認された後に種付けが行われる。発情期間は約5から6日間続き、この期間中の管理と観察が繁殖成績に大きく影響を与える。
発馬(はつば)
競走馬がスタートする瞬間を指し、これには発馬機が用いられる。発馬機は電動式で設計され、スターターの合図とともに前扉が開き、競走馬が一斉にスタートを切る仕組みとなっている。
バテる
レース中に馬が力尽きる状態を指し、特にオーバーペースで先頭を走った馬に見られる現象である。力走の末に体力を使い果たし、スピードが急激に低下する。この状態は馬の体調管理やレース戦略の見直しが必要とされる。
パドック
馬がレース前に展示される場所であり、騎手やトレーナーが最終的なチェックを行うスペースでもある。また、牧場では馬を一時的に囲う小さな放牧地を指すこともある。パドックでの馬の様子はレースの出来栄えを予測する手がかりとなる。
パトロールビデオ
レース中の全ての動きを記録するために各コーナーの監視塔から撮影される。これはレース中のインターフェアや騎乗ぶりを評価するために重要であり、問題が発生した際にはこれをもって審議の参考にされる。2017年からは全レースのパトロールビデオが公開されている。
ハナ
レースにおいて馬が先頭に立つこと、またはその先頭の位置を指す。ハナを切る、ハナに立つと表現されることが多い。また、着差が非常に小さい場合の表現としても用いられ、「ハナ差」は最も僅かな差であることを意味する。
鼻ねじ(はなねじ)
特にゲート入りが困難な馬や非常に神経質な馬に使用される、馬の鼻を軽くつまんで持ち上げる道具である。鼻ねじをかけると、多くの馬が抵抗を止め、より素直になる傾向がある。これは馬の鼻が非常に敏感な部分であるため、適切な使用により馬をコントロールしやすくする。種付けの際にも牝馬を落ち着かせる目的で使用されることがあり、ゲートトレーニングやその他の補助手段としても利用される。
馬場先出し(ばばさきだし)
特に興奮しやすい馬や不安定な馬に対して、他の馬よりも先に競走場に出す手法を指す。この措置は、馬がイレ込んで暴れることを防ぎ、安全な競走環境を確保するために取られる。馬場先出しは、事故を防ぎ、馬および騎手の安全を保つために重要であり、競走の公平を保つためにも行われる。
馬場状態(ばばじょうたい)
競馬場のコンディションを指し、水分含有量によって「良」「稍重」「重」「不良」と分類される。各馬場の状態は馬のパフォーマンスに直接影響を与え、特定の条件下での馬の適性が明らかになる。たとえば、重たい馬場は力のある馬が有利であり、乾いた馬場はスピードが活きる馬に適している。
馬銜(はみ)
馬に噛ませる金属製の棒で、騎手が手綱を通じて馬を操作するための重要な道具である。馬銜を噛むことで馬は指示に従いやすくなり、これを通じて人と馬のコミュニケーションが行われる。良い「ハミ受け」とは、馬がハミに対して柔らかく反応する状態を指し、これがトレーニングやレースの成績に直接関連する。
馬名(ばめい)
競走馬には個別に馬名が付けられ、これには特定の規則がある。馬名は有名な競走馬や既に存在する馬名と紛らわしいもの、または不適切な名前は避ける必要がある。馬名の選定は競走馬のアイデンティティを形成するため重要であり、一度登録された馬名は原則として変更は認められないが、特例として未競走の馬は一度だけ変更が可能である。
腹帯(はらおび)
鞍を馬の背に固定するために使用される馬具で、正しく締めることが重要である。腹帯が緩いと鞍がずれて鞍ずれの原因となり、強く締め過ぎると馬の動きを妨げる。安全性を高めるために、上腹帯と呼ばれる二本目の帯を使用することもある。
馬齢重量(ばれいじゅうりょう)
馬の年齢に基づいた基本的な負担重量を指し、これによってレースの公平性が保たれる。2歳の馬は比較的軽い重量からスタートし、年齢が上がるにつれて負担重量も増加する。馬齢戦ではこれが特に重要で、見習い騎手には減量の恩恵が与えられることが一般的である。このシステムにより、年齢や経験に応じて競争が行われる。
ハロン
競馬における距離の単位で、元々は1マイルの8分の1、約201.17メートルを指す。しかし、日本では1ハロンを200メートルと定めて使用している。競走や調教における速度の計測、すなわちハロンタイムは、異なる距離のレースを比較する際に用いられる。コース上に設置されたハロン棒は200メートルごとにあり、騎手はこれを目安にゴールまでの残り距離を把握し、レース戦略を立てるのに役立てる。
ばんえい競馬(ばんえいけいば)
重量級の馬が最大1トンの鉄ソリを引きながら走る日本独自の競馬形態で、北海道帯広市で行われている。コースは直線200メートルで、途中に高さ1メートルと1.6メートルの障害が2つ設けられている。この競馬は馬のスピードだけでなく、パワーとスタミナが求められ、障害を速く駆け上がりながらゴールを目指す技術が重要である。鉄ソリがゴール板を通過した時点でゴールとされ、北海道の農耕馬の歴史が今に受け継がれている。
バンケット
競馬や障害レースのコースに設けられる特定の急坂を指す。これは単なる傾斜ではなく、コース上の戦略的な要素として機能し、馬や騎手の技術を試す場となる。例えば、中山競馬場の谷や福島競馬場の小さな丘は、そのコースの個性を形成し、レースの結果に大きく影響を与えることがある。
繁殖牝馬(はんしょくひんば)
競走馬としてのキャリアを終えた後、繁殖用として選ばれた牝馬を指す。これらの馬は競走能力、血統の良さ、またはその両方に基づいて選ばれ、新たな競走馬の母となる。繁殖牝馬は馬産地で特に大切に管理され、次世代の競走馬を産み出すための重要な役割を果たしている。
阪神競馬場(はんしんけいばじょう)
兵庫県宝塚市に位置する中央競馬の一大拠点である。この競馬場は以前、直線距離が短く、コースに坂があるなど中山競馬場の特徴に似ていたが、施設の大規模な改修を経て、よりバランスの取れたコース設計に変わった。主な開催レースには、桜花賞や宝塚記念などの一流レースが含まれ、これらは日本競馬を代表するイベントとして広く注目されている。
ハンデキャップ
競馬において各馬に与えられる負担重量のことで、馬の能力や過去の成績に基づいて調整される。これにより、能力差がある馬同士でも公平に競争が行えるように設計されており、レース結果がより予測しにくく、競走が面白くなる。ハンデキャップレースでは、最終的にゴール前での横一線の競走が目指されており、それによってどの馬にも勝つチャンスが与えられる。
坂路(はんろ)
トレーニングセンターに設けられた特別な調教コースで、上り坂が特徴である。美浦トレーニングセンターと栗東トレーニングセンターにはそれぞれ異なる長さと傾斜の坂路があり、馬の筋力強化やスタミナ向上に効果的である。坂路を使用することで、馬はレースでのパフォーマンス向上につながる体力と耐久力を身につけることができる。
曳き運動(ひきうんどう)
厩務員が馬を引いて行う歩行運動で、乗り運動と同様に競走馬の日常トレーニングに不可欠である。調教の前後や休日以外の毎日実施され、馬の歩様を観察し早期に脚部の問題を発見する手段としても役立つ。この運動は馬の筋肉を柔軟に保ち、体調を整えるのに重要な役割を果たす。
引き返し(ひきかえし)
マルタンガールとも呼ばれる矯正馬具の一種で、馬が頭を高く上げて制御しにくくなるのを防ぐために使用される。この装具は腹帯からハミを通じて手綱につながり、騎手のコントロールを助ける。特に頭を上げがちな馬に対して効果的で、馬が落ち着いて走るのを助ける。
鼻出血(びしゅっけつ)
競走馬がレース中に経験することがある鼻出血は、その原因が完全には解明されていない。競走中に発生すると、馬は十分に呼吸できなくなり、パフォーマンスが著しく低下する。鼻出血が習慣性になると、再発するごとに出走停止期間が延長される規定がある。
引っかかる
騎手が馬を抑えようとしても馬が制御を聞かずに勝手に速度を上げる状態を指す。これは騎手と馬の間で折り合いがつかず、レース中にこのような状態になると通常、馬のエネルギー管理が難しくなり、結果的にレースの成績に悪影響を及ぼすことが多い。
蹄(ひづめ)
馬の最も重要な部位の一つで、地面に直接触れる部分である。馬の健康と直接関連しており、「蹄なければ馬なし」と言われるほど、その状態は馬のパフォーマンスに直結する。蹄鉄は蹄の摩耗を防ぎ、適切な蹄のケアが馬の健康維持には欠かせない。
ヒモ
レースで2着に入る馬、またはそれを予測する際に用いられる言葉である。ヒモ探しは、本命馬と共に2着に入る可能性のある馬を見つけ出すことを意味し、馬券戦略の一環として行われる。
平場(ひらば)
特別レース以外の一般的な競走を指し、主に条件戦がこれに該当する。平場のレースは特別レースに比べて賞金が低めで、参加する馬も一般的にはレベルが低いことが多いが、競馬の日常的な競争の場として重要な役割を果たしている。
牝系統(ひんけいとう)
ある牝馬から派生した血統の系譜を指し、その馬の子孫がどのような競走成績を残しているか、どのような影響を競馬界に与えているかを示す。牝系統の研究は、繁殖牝馬の選定や将来の競走馬の潜在能力を予測する上で重要であり、ファミリーテーブルという形で記録され、広く利用されている。
ファミリー・ナンバー
19世紀末にブルース・ロウによって導入された母系に基づく競走馬の分類システム。イギリスの主要競走の勝ち馬の母系をトレースし、成功した系統から順に1番から43番まで番号が付けられた。現在ではその番号がさらに追加され、世界中の主要レースの勝ち馬の系統も含まれるようになっている。母系を分類する便利なツールとして今も広く使用されている。
ファンファーレ
競馬場でレースが始まる前や特別なイベント時に演奏される短い祝賀の楽曲です。この音楽は、観客にレースの開始を知らせ、場の雰囲気を盛り上げる役割を持っています。特に重要なレースやクラシック競走では、その競走の格に合った独特のファンファーレが用意されることが多く、競馬の伝統と華やかさを象徴するシンボルの一つとされています。
付加賞(ふかしょう)
競馬の特別競走でエントリー料の一部が1着から3着までの馬に7:2:1の割合で分配される賞金。これはステークスレースの一形態で、中央競馬においては定められた登録料から生成される。地方競馬ではこの制度は用いられておらず、中央競馬独自の特色となっている。
複勝(ふくしょう)
出走する馬が5頭から7頭の場合には2着まで、8頭以上の場合には3着までを対象とする馬券の形態。これにより、配当は低くなるものの的中率が高く、安定したリターンを求めるベッターに人気がある。ただし、出走馬が4頭以下の場合は複勝式馬券は発売されない。
服色(ふくしょく)
騎手が着用する勝負服の色やデザインを指す。色は13色に限定されており、デザインには輪、帯、山形など多様なパターンがある。馬主はこれを登録し、自分の馬がその色の服でレースに参加する。地方競馬では騎手が自分で服色を決定することもあり、自分の服色の勝負服でレースに臨むが、一部レースでは馬主服での出走が認められている。
ふくれる
馬がコーナーを曲がる際にコースに沿って回らず外側へ逸れることを指す。この現象は、手前の脚を替えられない、気性の問題などによって引き起こされることが多く、レース中に大きな距離損失となり、パフォーマンスに影響を与える。
フケ
牝馬が発情する状態を指し、特に春から夏にかけて見られる。発情する期間は通常5日から6日続くが、この状態にある馬は競走能力が低下することがあるため、調教師はこれを考慮に入れた管理が求められる。発情期間が長い場合や季節外れの発情をする場合には「だらぶけ」と呼ばれることがある。
負担重量(ふたんじゅうりょう)
競走馬がレース中に背負う重量で、騎手の体重、鞍、鞍下の毛布、鉛などが含まれる。この重量は馬の年齢、性別、過去の成績に基づき、平等な競走が行えるように調整される。ハンデキャップ競走では、各馬の実力に応じて負担重量が調整され、すべての馬に公平な勝ちチャンスが与えられることを目的としている。
ぶち毛(ぶちげ)
馬の毛色の一種で、体に大きな白斑があるものを指す。この毛色は、ポニーなどによく見られる特徴で、原毛色により栗ぶち毛や鹿ぶち毛といった名前で呼ばれる。白色部が有色部よりも多い場合はぶち栗毛、ぶち鹿毛として分類される。
ブックメーカー
勝馬投票券の購入と配当の決定において個別のオッズを設定する業者のこと。主にイギリスやその他一部の国で見られるブックメーキング方式は、購入時のオッズに基づいて払戻しが行われる。この方式では、オッズはブックメーカーによって設定され、競馬以外の多様なイベントにも適用されることがある。
ふなゆすり
馬の癖の一つで、熊癖とも呼ばれる。馬房内で馬が前肢を広げて左右に体重を交互にかけ、体を揺する行動を指す。この行為は前肢の腱に悪影響を及ぼす可能性があり、馬の健康管理上、好ましくない行動とされる。
踏み込み(ふみこみ)
馬の歩様に関する用語で、馬がどの程度の歩幅で地面に足を着地させるかを表す。調子の良い馬は、前肢が踏んだ跡より前に後肢が着地することが多い。この特徴は馬の調子や健康状態を判断する際の重要な指標となる。
冬毛(ふゆげ)
季節に応じて馬の体に生える毛で、寒い季節に向けて体毛が長くなり保温性が増す。春になるとこの冬毛は抜け落ち、夏毛に更新される。冬毛の抜け具合は馬の健康状態を反映するため、管理上注意が必要である。
ブリンカー
馬が他の物に気を取られないようにするために使用される遮眼具。主にレース中に集中力を保つためや、物見や暴走を防ぐために装着される。ブリンカーを着けることは、馬の走行に大きな影響を及ぼすことがあり、装着は出走登録時に明記される。
フリー騎手(ふりーきしゅ)
特定の厩舎と専属契約を結んでいない騎手のこと。これに対し契約騎手は特定の厩舎に所属し、その厩舎の馬のレースおよび調教に専念する。フリー騎手はレースや調教の騎乗の際、厩舎と個別の契約を結ぶ必要があり、幅広い厩舎の馬に騎乗するチャンスがある。
フリーハンデ
競走馬の能力を国際的に評価するために用いられるレーティングシステム。具体的な競走条件にとらわれずに設定され、ワールドベストレースホースランキングなど国際的な評価に貢献している。JRAは毎年1月に前年の成績を基にしたJPNランキングを発表し、その評価は半期ごとに更新される。
ブルードメアサイアー
繁殖牝馬の父のことを指す。競走馬の母系の血統を形成する重要な要素であり、特に母系からの影響が馬の能力に大きく影響するとされる。繁殖牝馬の選定において、ブルードメアサイアーの質は非常に重要視される。
フレグモーネ
馬に発生する急性の化膿性疾患で、通常は外傷を通じて感染が起こる。感染が急速に進行し、馬の脚が短時間で著しく腫れることが特徴。適切な治療が迅速に行われない場合、重篤な合併症を引き起こし、競走能力に大きな影響を及ぼす。
分割レース(ぶんかつれーす)
出馬投票の結果、申し込み馬が多数の場合に特定の競走を2つのレースに分割して行う制度。これにより、より多くの馬に競走の機会を提供するとともに、競走の質を保つことができる。分割されるのは主に16頭以上の申し込みがあった場合で、競走数の上限と獣医師の診断を基に決定される。
併走(へいそう)
2頭以上の馬が並行して走る状態を指す。この用語は、特に調教での併せ馬(あわせうま)の際に用いられることが多い。併せ馬は、競走馬の調教中に、他の馬と競争させることでその馬の競走能力や反応を見る重要な訓練方法であり、馬の走りを最適化するために行われる。
平地競走(へいちきょうそう)
障害物がない通常の競馬レースを指す。トロッター(繋駕速歩)による競走が平地競走と区別されていたが、その形式は1968年(昭和43年)に廃止された。現在、平地競走は競馬の主流を形成しており、障害競走と対比される。また、「平場」(ひらば)という言葉も同様に平地競走を意味し、特に特別レースに対する一般条件レースを指すことが多い。
別定重量(べっていじゅうりょう)
各レースに出走する馬の負担重量を定める方法の一つ。基本となる重量に、過去の収得賞金額、勝利度数や特定の競走での成績に基づいて加重を加える。この制度は重賞競走やオープン特別競走で頻繁に用いられる。また、「定量」と呼ばれるものは、馬の年齢や性別に基づいて全出走馬に一定の重量が定められる場合がこれに該当する。
返還金(へんかんきん)
競走から除外された馬に対して発売された勝馬投票券の投票者に返金される金額。もし枠連の馬券で同一枠の他の馬が出走する場合や同枠のゾロ目組み合わせが残っている場合は返還されない。返還金は競走が開始される前に発表され、馬券の買い戻しとも呼ばれる。
帽色(ぼうしょく)
騎手がレース中に着用するヘルメットの色を指し、各枠ごとに異なる色が割り当てられている。これにより、観客や競馬関係者がレース中の馬の位置や枠順を容易に識別できるようになっている。具体的には、1枠は白、2枠は黒、3枠は赤、4枠は青、5枠は黄、6枠は緑、7枠は橙、8枠は桃色と定められており、同じ枠に複数の騎手が存在する場合は、染分け帽が用いられる。
法人馬主(ほうじんうまぬし)
個人ではなく、会社組織やクラブ法人などの集団によって所有される競走馬の馬主のことをいう。これにより、多くの人が少額の出資で競走馬のオーナーになることが可能となり、広く競馬の魅力を楽しむことができるようになっている。
放馬(ほうば)
競走馬が騎手を振り落とし、コントロールを失って競馬場内を逸走することを指す。特に競走当日に返し馬中や興奮状態のときに見られる行動で、競走能力に大きな影響を及ぼす可能性がある。
放牧(ほうぼく)
放牧は競走馬をトレーニングセンターから一時的に牧場に戻すことを指す。競走やトレーニングの疲労回復、故障治療のため、または季節の変わり目に気温の低い地域でリフレッシュさせるために行われる。特に北海道のような涼しい地域での放牧は、馬の精神的、身体的回復に効果的である。放牧から戻った後の初レースを「放牧明け」と呼び、馬のコンディションに注目が集まる。
ポケット
競馬場のコーナーの内側に設定されたスタート地点や特定の領域を指す。例えば、京都競馬場の2400メートルレースが4コーナーのポケットからスタートする。また、レース中にポケットに挟まれるという表現は、他の馬に囲まれて動けなくなる状況を指し、競走結果に不利な影響を及ぼすことがある。
保護帽(ほごぼう)
騎手や調教師が競馬のレースや調教中に着用する安全ヘルメットのこと。これは、落馬時に頭部の負傷を防ぐための必須の安全装備であり、調教助手や騎手候補生も含めて馬場での調教活動時には着用が義務付けられている。
ボックス買い(ぼっくすがい)
複数の馬を軸に全てのパターンの馬券を購入する手法のこと。競馬や競輪などのレースでよく使われ、複数の馬の組み合わせによる当選の可能性を高めるが、買い目が増えるため購入費用も高くなる。
歩様(ほよう)
馬の歩行のスタイルや動作のパターンを指し、馬の健康や調子を判断する上で重要な観察点である。良好な歩様はスムーズで伸びやかであり、反対に何らかの問題がある場合は歩様に乱れが見られることが多い。
ホライゾネット
騎乗中に馬の集中力を向上させるため、または周囲に対する過剰な反応を抑えるために目の周りを覆う網状の装具である。これはブリンカーとは異なり、装着しても周囲の視野を完全に遮ることはなく、競走中の馬のイレ込みを軽減する効果が期待される。
ボロ
馬糞の俗称であり、馬の健康状態を観察する重要な指標の一つ。理想的なボロは硬さがある程度保たれており、地面に落ちると軽く崩れる程度のものが健康な証。柔らかすぎるボロは消化不良や健康問題を示唆している場合がある。競走馬は特にパドック内でボロをすることがあり、これを「ウンを落とす」と表現することも。
本賞金(ほんしょうきん)
競走馬の各レースで上位に入った馬の馬主に対して支払われる正式な賞金で、1着から5着までの馬に対して交付される。これには出走奨励金や特別レースでの付加賞金などは含まれない。本賞金の額は競走のカテゴリーと重要性によって異なり、馬主の収益に直接関わる。
本馬場(ほんばば)
競馬が行われる主要な競走コースのことで、主に芝コースを指す。日本の中央競馬では、調教は主にトレーニングセンター(関東の美浦、関西の栗東)で行われるが、ローカル競馬では競馬場内の本馬場でも調教が行われることがある。本馬場の状態は競走の結果に直接影響するため、メンテナンスが重要視されている。
本番(ほんばん)
特に重要視される大レースを指し、競走馬の目標とされるクラシックレースや天皇賞などのこと。馬や調教師は、本番に向けて調子を整え、最高のパフォーマンスを発揮することを目指す。以前は前哨戦を利用して馬体を整えることが一般的だったが、現在は各レースで最大限の努力が求められている。
本命馬(ほんめいば)
あるレースにおいて最も勝利が期待される馬を指す。競馬の予想紙では通常、本命馬には◎マークがつけられる。本命馬はそのレースで最もフォームや能力が優れていると評価され、多くの賭け手にとって最も信頼性の高い選択肢とされる。
ホームストレッチ
競馬場における最後の直線コースのこと。レースの結果が決定するクリティカルな部分で、各馬のスプリント能力が試される。競馬場によってホームストレッチの長さは異なり、例えば新潟競馬場の芝コースは659メートルと非常に長いが、他の競馬場では一般的に250メートルから400メートルの範囲内である。
ま行
マイラー
1600メートルから2000メートルの中距離を得意とする馬を指す。スプリンター(短距離馬)やステイヤー(長距離馬)に対して位置づけられる。日本の競馬では、距離が徐々に延びていく傾向があり、マイラーの活躍が目立つ。
前検量(まえけんりょう)
出走馬が負担する重量を競走の前に計量することを指す。騎手は競走の発走時刻前70分から50分までの間に検量を受ける。体重や装具の調整で所定の負担重量に達しない場合は、検量委員に申し出て許可が得られれば2キロ以内の範囲で重量超過が許可される。
巻腹(まきばら)
馬の腹部が乏しく、巻き上がったような状態を指す。過労によって生じることがあり、パドックで見る際の重要なチェックポイントとなる。
股綱(またづな)
馬が頭を上げるのを防ぎ、低姿勢を保つために用いられる補助具。革紐を手綱から取り、鞍に直結させ、馬が頭を上げるときに突っ張るように作られる。レースで使用する場合は負担重量に加算される。
抹消(まっしょう)
中央競馬への登録を取り消すことを指す。通常、馬主からの申請で行われるが、馬が死亡した場合や地方競馬への登録を受けた場合、所有者が60日以内に馬主登録を行わなかった場合、不正な出走があった場合など、様々な理由で抹消される。
マッチレース
2頭の馬が雌雄を決するために行われる競走方法。競馬の起源とされ、16世紀ごろの英国で盛んに行われた。現在の日本の競馬では一対一の競走はないが、多頭数出走していても2頭だけが突出して強い場合に「このレースはマッチレースだ」と形容される。
万馬券(まんばけん)
払戻金が元金の100倍を超える馬券のことを指す。一つのレースで単勝式、複勝式、連勝複式の全てが万馬券になる場合、「トリプル万馬券」と呼ばれる。競馬においては珍しいが、高配当を期待して購入されることがある。
未出走(みしゅっそう)
競馬において、まだ一度も競走に出走していない状態を指す。通常、競走馬は2歳から3歳の春に新馬戦と呼ばれるレースに出走するが、この時点でまだ走ったことがない馬を未出走と呼ぶ。
未勝利(みしょうり)
競馬において、まだ1着になったことがない状態を指す。未勝利戦では未出走の馬も出場可能であるが、未出走の馬は通常、新馬戦に出走する。未勝利戦は通常、3歳の秋に終了する。
見せムチ(みせむち)
騎手が馬を駆る際に使用するムチで、本来は馬を叩くために用いられる。しかし、馬によっては叩かれることを嫌い、逆に頭を上げたり反抗したりすることもある。そこで、見せムチとしてムチを見せることで馬に走る気を起こさせる。
道悪(みちわる)
競馬において、馬場の状態を表す言葉であり、主に「重」や「不良」などを指す。特に、馬場が湿っておりぬかるんでいる状態を指して道悪と呼ぶ。
身っ食い(みっくい)
馬が自分の体を噛む癖のことを指す。この行動は退屈やストレスから生じるとされ、時には馬体に傷が残るほど激しく噛むこともある。
見習騎手(みならいきしゅ)
免許の通算取得期間が5年未満で、かつ勝利度数が100回以下の騎手を指す。若手の騎手は技術的に未熟であり、競走において不利になることがあるため、彼らの育成を図るために減量制度が導入されている。
耳捻(みみねじ)
馬が軽い手術を施したり、ゲートに入るのを嫌がる際に使用される器具である。耳を捻り、馬の気をそらせたり、刺激を与えたりして馬をおとなしくさせる。
無口(むくち)
馬の頭絡の一種であり、ハミのついていない頭絡を指す略称である。頭絡の詳細については「頭絡」の項目を参照されたい。
むこうずね
主に馬の前肢に発生する疾患である。管骨の前面の骨膜炎や総指伸腱の炎症などが原因で、若い馬に多く見られる。早期に適切な処置を行うことで治癒が可能であり、焼烙療法も効果的である。焼き乗りとは、焼烙療法を休むことなく調教しながら行うことを指す。
無印(むじるし)
競馬の予想欄で、どのような印もつかない馬を指す。一般的に人気のない馬が無印とされ、その競馬での馬券戦略において重要な要素となる。
鞭(むち)
騎手が競走に際して手に持つ馬具であり、ステッキとも呼ばれる。馬に気合をつけたり、全能力を発揮させるために使用され、見せるだけでも効果がある。2017年以降は、競走での鞭の使用がパッド付き鞭に限定されている。
むながい
馬の鞍橋にかけられる緒であり、鞍の位置を安定させるための補助具である。鞍ずれを防止し、不良体形で鞍変位を引き起こす危険のある馬に使用される。競走馬の負担重量には加算されない。
目隠し(めかくし)
ゲート入りの際に使用される装具で、ゲート入りが苦手な馬に対して用いられる。黒い頭巾のようなもので、これを馬の目にかぶせて視界を遮断し、ゲートインを促す。
メンコ
馬の覆面を指す。通常は耳を覆う部分がついており、音に敏感な馬や、砂を直接被ることを嫌う馬に使用される。馬の集中力を高め、外部の刺激から保護する役割を果たす。
モタれる
競走中や調教時に、馬が進路を妨げるように斜行することを指す表現。コースの内側に向かおうとする行動を「ササる」と呼び、逆に外側に向かおうとする行動を「ふくれる」と称する。
持ち込み馬(もちこみば)
1971年6月30日以降に日本に輸入された、外国で受胎した妊娠馬から生まれた馬のこと。これ以前は外国産馬と同様に扱われ、一部の重要な競走に出走する資格が制限されていた。
持ちタイム(もちたいむ)
ある馬が特定の距離で計測した最速のタイムを指す。このタイムは馬の能力を示す一つの指標とされるが、馬場状態やレースの条件などによっても影響を受けるため、単純に能力を測る指標ではない。
持ち乗り(もちのり)
厩務員が馬の世話をしながら、調教にも関与すること。馬の状態や調教プランを把握し、馬場での運動などを担当する。
物見する(ものみする)
馬が突然何かに驚いて騒ぎだしたり、動きを止めたりする行動や癖のこと。競走中にはハロン棒の影や芝生の段差に反応する馬もおり、そのような行動を示すこともある。馬は視覚が弱いため、物や音に敏感で用心深いとされる。
揉まれる(もまれる)
レース中、馬込みに入って思うように走れない状態を指す言葉。気の小さい馬は揉まれると戦意を失い、揉まれ弱いとされる。多頭数の競馬では不利になることがある。
もやし馬(もやしうま)
育成期間に過保護になっている馬のこと。外見は立派だが、本質的な育成がなされず見た目だけが良い馬。急仕上げで鍛錬不足の競走馬も含まれる。実質が伴わない馬を指して「もやし馬」と呼ぶ。
もらい
騎手が軽い重量で出走する際に、重量を減らしてもらうことを指す。また、目標のハンデ戦に向けて前のレースでハンデを軽くしてもらうこともある。騎手や馬に有利な条件を与えることを「もらい」と呼ぶ。
モンキー乗り(もんきーのり)
鐙を極端に短くして前傾姿勢で馬に乗る騎乗法。抵抗が少なくスピードを出しやすいため、多くの騎手が採用している。アメリカの騎手トッド・スローンが考案し、日本でも大正時代からあったが、保田隆芳氏の成功により一般化した。
や行
焼く(やく)
焼烙療法と呼ばれる、馬の治療法。主に筋肉や骨膜、関節の慢性的な炎症に対して有効で、薬物療法では改善しない場合に使用される。かつては鉄や銅で作られた器具を熱して使用したが、現在では電気式の器具が一般的に使われている。治療後の馬の脚には、焼かれた跡が乾パンの穴のように見えることがある。
安目を売る(やすめをうる)
発馬時に出遅れることを指す。例えば、他の馬に寄られたり、スタートがうまく切れなかったときに「安目を売る」と表現される。
ヤネ
馬に乗る騎手を指す俗称。競馬において、騎乗する者を一般的に「ヤネ」と呼ぶ。
ヤマキズ
馬が育成期間中に牧場で負った傷のことを指す。競走馬になってからもその傷の跡が残る場合に用いられる言葉。
稍重(ややおも)
競馬の馬場状態のひとつで、『良』と『重』の中間を示す。馬場がやや重めであることを表す表現。
誘導馬(ゆうどうば)
競馬場のパドックから本馬場のゴール板まで、競走馬を誘導する馬のこと。主に外見が美しい引退馬が誘導馬として活躍し、競走馬を先導したり最後尾について他の馬を誘導したりする。
輸送競馬(ゆそうけいば)
トレーニングセンターから競馬場へ当日輸送して出走する競馬のこと。一方で、競馬場で調教して使う競馬を「現地(滞在)競馬」と呼ぶ。輸送競馬では、馬は馬運車で長時間移動し、その間にストレスを感じることがあり、馬体重が減少することもある。
ユニット馬券(単勝)
競馬の勝ち馬投票券の一種で、賭ける金額が固定されており、複数の組み合わせを1枚で購入できる馬券のこと。現在、中央競馬ではすべての勝ち馬投票券がこのユニット馬券に統一されている。ユニット馬券を購入することで、複数の馬券を一度に手に入れることができ、賭ける金額も一定なので手軽に参加できる特徴がある。
輸入種牡馬(ゆにゅうしゅぼば)
外国から輸入された優秀な種牡馬のこと。これらの輸入種牡馬は、日本の競馬の改良に大きく貢献してきた。代表的なものには、サンデーサイレンスやブライアンズタイムなどがいる。
緩む(ゆるむ)
馬の調子が下がることを指す言葉。病気や疲労によって調教を休んだり、休養を与えて立て直すことも含まれる。また、「緩める」という場合は、使い込んだ馬に休養を与えて体力を回復させることを指す。
予後不良(よごふりょう)
救命不能と診断され、安楽死処置となること。競走中や調教中に馬体に重大な故障を発症し、その回復が極めて困難と診断された場合、安楽死処置が取られる。この処置は、馬の苦しみを取り除き、苦しむことなく安らかに最期を迎えさせるために行われる。
預託料(よたくりょう)
馬主が調教師に馬の育成や調教を委託した際の預け賃。各馬ごとにかかる費用は異なり、調教師や厩舎によっても異なる。また、当歳や2歳馬を購入し、厩舎に入るまでの間の牧場での飼育や調教にかかる費用も預託料に含まれる。
呼馬(よびうま)
競馬において、抽せん馬に代わって登場した自由購買馬のこと。馬主が直接購入した馬であり、サラブレッドの自由購買馬として知られる。競馬の規模拡大に伴い、呼馬が占める比率が増加している。
夜目(よめ)
馬の前膊部に付着する褐色の塊を指す。拇指が退化したものとされ、個体鑑別に利用されることもある。馬はかつて5本の指を持っていたが、進化の過程で拇指と小指を失い、現在では中指のみで体を支えている。
ヨレる
馬が追われて一杯になりよろけることを表す言葉。競走中などで馬が疲れて姿勢を崩す様子を指し、特に直線での斜行を示す。
ら行
楽走(らくそう)
馬が調教やレース中に、楽に走っている状態を指す表現。騎手が馬に補助動作を行わず、馬の走る力をセーブさせている状態であり、余力十分で馬を走らせることが特徴。実戦では考えにくいが、調教中に調子の良い馬が楽走に近い状態で好タイムをマークすることもある。
落鉄(らくてつ)
蹄鉄が外れ落ちることを指す言葉。馬が自らの後肢または対側肢で踏んで蹄鉄が外れることが一般的であり、落鉄の際には装蹄師が待機していることがある。競走中に蹄鉄が落ちると、スピードが落ちたり大敗する原因になることもある。
落馬(らくば)
競馬中、馬がつまずいたり転倒したりして、騎手が馬から落ちること。予期せぬ障害や接触が原因で発生し、安全対策が重要。競馬の展開にも影響する。
ラチ
馬場の柵を指す言葉。内側にあるものを内ラチ、外側にあるものを外ラチと呼ばれる。馬によってはラチを頼る馬もいれば、ラチを怖がる馬もおり、枠順が内側だからといって必ずしも有利とは限らない。
ラップタイム
レースや調教における1ハロン(200メートル)ごとのタイムを指す言葉。先頭の馬で計測されるため、逃げ切った場合を除き、勝ち馬のラップタイムとは異なる。競馬の遅速を表す重要な指標であり、特に前半の3ハロンでレースの性格が決まることが多い。競馬ブックでは各馬の通過順位から前半の3ハロンを計算し、能力表に掲載され、勝ち馬推理の参考資料として活用される。
理化学検査(りかがくけんさ)
競馬に出走した馬の尿または血液を検体とし、分析機器を用いて禁止薬物の検査を行うことを指す。現在、114種類の禁止薬物が定められており、これらの薬物の使用を防ぐために厳格な検査が行われる。1965年に競走馬理化学研究所が設立され、中央競馬および地方競馬の競走馬に関する検体について理化学検査を行っている。
リステッド競争(りすてっどきょうそう)
JRA(日本中央競馬会)において2019年から導入された、オープンクラスの特別なレースの一種。重賞に次ぐ位置づけであり、賞金が高額に設定されることが特徴。そのため、競走馬や調教師にとって重要な競走となる。対象のレースでは馬柱に(L)の表記がなされる。
理想体重(りそうたいじゅう)
競走馬の最適な体重。これは個々の馬が最高のパフォーマンスを発揮するために必要な体重であり、競走歴やトレーニングの経験によって決まる。関係者はこの理想体重を目指してトレーニングを調整し、ファンもその馬の理想的な体重を注視している。
良血馬(りょうけつば)
競走馬の優れた血統を持つ馬のこと。これは父馬や母馬が優秀な競走馬や繁殖牝馬である場合に使われる。優れた血統を持つ馬は競走成績が期待され、競馬界では高い評価を受ける。
リーディングサイアー
1年間で最も多くの賞金を獲得した種牡馬を指す称号。競馬界ではその年のトップ種牡馬として称えられ、その産駒の競走成績の優秀さを示す。リーディングサイアーの称号は競馬の世界で高い評価を受ける。
リーディング・ジョッキー
ある期間内に最も多くの勝利を挙げた騎手。中央競馬では東西に分かれてリーディング・ジョッキーが選ばれ、その年のトップ騎手として称えられる。
レコードタイム
競馬場やコース、距離ごとに記録された最速の走破タイムのこと。競馬の歴史や条件によって異なり、GⅠレースなど主要競走ではレースレコードも記録される。馬や騎手、調教師にとっての目標であり、高い能力やパフォーマンスを示す重要な指標である。
レーシングプログラム
競馬場で入場者に提供される公式の出馬表。通称「レープロ」とも呼ばれ、出走馬や関係者の情報が掲載される。レーシングプログラムには、各競走の出走馬や過去の成績、騎手や調教師の情報などが記載されており、競馬ファンにとって重要な情報源となっている。
レース間隔(れーすかんかく)
出走してから次回出走するまでの間隔のこと。次週に出走する場合は「連闘」といい、次々週に出走する場合は「中1週」などどいう。間隔が大きく開いた場合は、「2ヶ月ぶり」などという。
裂蹄(れってい)
馬の蹄が割れること。寒さや乾燥などの要因によって発生し、冬場によく見られる。裂蹄は馬の健康やパフォーマンスに悪影響を与える可能性があり、適切な治療と予防が重要である。
レーティング
競走馬の実力を客観的に評価するための指標であり、国際的に共通の基準として用いられている。ポンド(重量の単位)で表され、重賞やオープン競走に出走した馬に対して算出される。競走距離を示す「SMILE」(スマイル)という記号と組み合わせて使用され、その距離での競走馬の能力を示す重要なデータとなっている。
連勝式(れんしょうしき)
複数の馬を同時に予想する馬券の一種。2頭または3頭の順位を的中させることが求められる。連勝式は単勝や複勝と比べて当選確率が低いが、的中時の配当が高いことが特徴である。
連対率(れんたいりつ)
競走馬や騎手、調教師の成績における1着または2着に入る割合を示す指標。連対率が高いほど、競走馬や関係者の実績や信頼性が高いとみなされる。
連闘(れんとう)
連続して2週間にわたって競走に出走すること。連闘は馬の体力や調整状態に影響を与えるため、慎重な計画と適切な管理が必要である。連闘での出走は、馬券の予想やレース展開に影響を与える要素の一つでもある。
連番(れんばん)
馬券の連勝式における対象となる馬の組み合わせ番号。連番は、馬券購入時に指定される組み合わせの識別に用いられる。
ローカル戦(ろーかるせん)
競馬の開催地域で、中央競馬場所(東京、中山、京都、阪神)以外の地方競馬場(中京、福島、新潟、札幌、函館、小倉)で行われる競馬を指す。これらの地方競馬場での競馬をローカル戦と呼び、中央競馬場所と同時に開催される場合は裏開催と称される。
ローテーション
競走馬の出走から次の出走までの時間間隔を指す。出走後から次の出走までの期間を「中1週」と表記するが、実際には1週間ではなく、2週間の間隔を指すことがあるので注意が必要である。
わ行
ワイド馬券(わいどばけん)
正式には、拡大馬番連勝馬券のこと。馬券の一種であり、1着と2着の馬の組み合わせに賭けるもの。通常の単勝や複勝と異なり、1着と2着のほかに、1着と3着、2着と3着の組み合わせも当たりとなる。ただし、3着同着の場合、3着同士の組み合わせは的中にならない。
▼こちらの記事ではワイド馬券について詳しく解説しています!

若手騎手(わかてきしゅ)
騎手免許取得後7年未満の騎手を指す。彼らは若手騎手競走に出場することができる特権を持つ。
枠順(わくじゅん)
競馬のレースにおいて、出走馬がゲートに入る順番のことを指す。抽せんで決定され、内枠から順に馬に割り当てられる。馬番とは別に、内側の枠が1番、外側が大きな番号となる。
惑星(わくせい)
競馬のレースで活躍する主力馬ではないが、展開やレースの流れによっては連対する可能性のある馬を指す。穴馬や伏兵馬とも呼ばれる。
枠連(わくれん)
1着と2着の馬の枠番の組み合わせに賭ける馬券のこと。馬が9頭以上のレースで行われ、1着と2着の着順に関わらず、枠番の組み合わせが当たれば的中となる。

輪乗り(わのり)
競馬のレースの出走前に、ゲートの後方に集合した馬が、枠入りの合図まで円を描くように歩きながら待機すること。これにより、馬が落ち着いてスムーズにスタートできるよう準備される。